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ーShoサイド
Aの嬉しそうな顔を見ながら食事をしてるせいか、いつも以上に旨く感じられる懐石料理。
「はい、どうぞ」
『お、サンキュー』
Aにお酌してもらうだけで、酒までもがすげぇ旨く感じる。
『Aも飲んでる？』
「うん、飲んでるよ」
『もっと飲めば？』
「そんな飲んだら、酔っちゃうよ…」
その言葉に俺の心の奥で、ある思惑が働く。
Aが酔っぱらったら、ある意味、
大胆な一面を楽しめるよな…
それは俺にとってこの上ない喜び。
……だけど、Aが酔う前に俺が先につぶれる可能性もないわけじゃない。
そうしたら、２人の温泉旅行もきっとパーだ。
ダメだダメだ、ぜってーにダメ。
首を横に振る俺を見てAが聞いてきた。
「……ん？どうしたの？」
そう問いかけたAをチラッと見ると、上目遣いでまた「ん？」なんて笑いかけてくる。
あー、もう、そんな顔すんなよ…
なんか、違う意味で誘われてるみたいじゃん…
「翔ちゃん、食べないの？」
『あ、いや…食べるけど』
しっかり、あとでAも堪能しながら
食べさせてもらいます…
「なんか、ニヤけてるけど…考えごと？」
『うん、まぁ…』
「一応、聞くけど…仕事のこと？」
『…いや、違う』
「だよね？だって、仕事ならもっと、こんな顔するもん (笑)」
そう言って、眉間にシワを寄せて俺を見つめるA。
『俺のモノマネしてなくていいから(笑)』
「ふふふ、似てた？」
『全然、似てねぇし(笑)』
「えー、ひどい、少しは似てるでしょ(笑)」
『いいから、ほら、肉固くなっちまうから(笑)』
俺は焼き上がった肉をAの皿に取り分けて、それから自分の肉を頬張った。
「フフフ…翔ちゃん、リスみたい」
『……リス？』
「もう、口ん中に詰め込み過ぎ (笑)」
『そう……？』
「でも、私は美味しそうにいっぱい食べる翔ちゃんの顔が好き」
笑いながら、伸びて来たAの指先が優しく俺の口の横に付いたソースを拭う。
その指先の感触が、自分の小さい頃の思い出と重なった。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年6月18日 0時
