イヤな気持ち ページ19
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ポンポンって私の頭に乗せてくれてた手が、
スッと下りて来て私の左頬に触れた。
『ねぇA』
「……なに？」
『これ、叩かれた痕でしょう？』
「……」
いきなり、そこから攻められてくると
思わなかった私は答えに詰まった。
『イエスかノーで答えるって、さっき俺と約束したよね？』
「うん…」
『じゃあ、答えて？』
私が答えなければ、
その分翔ちゃんに余計な心配をかけるだけ。
そして、余計な時間がないことも、
さっきから鳴ってる翔ちゃんのスマホで
わかる。
それくらい、私にだってわかってる……
だから、翔ちゃんから目を逸らすように
視線を伏せてから小さく頷いた…
『その叩いた相手…って……』
翔ちゃんが何かを躊躇うみたいにして、
黙った。
ああ…きっと、サキさんじゃない…
サキさんであって欲しくない…って、
思ってるんだ。
そう思ったら、なぜだか…
自分がこれからすごく酷いことを
翔ちゃんに告げるみたいに感じて
自分のひざに置いた手をギュッと握った。
別にウソつくわけじゃないし、
私がなにも緊張することはない…って
分かってるのに
どうしてか、やっぱりイヤな気持ちだった。
『それって、あいつ……サキだろ？』
「、」
そう言われた途端、身体がピクッと揺れた。
『……答えて？』
無言の中、答えを求めるように
私を見つめる翔ちゃん…
だから、またギュッと両手を握りしめて
それと同じように目もギュッと閉じてから
小さくうなづいた。
その途端、すごく深いため息を吐いた翔ちゃん。
「……ごめんね、」
『なんで、Aが謝るの』
「……だって、私…翔ちゃんに対してイヤなこと伝えてるから……」
また小さくため息を吐いた翔ちゃん。
ああ……私って、なんでこうなんだろう。
あの時、サキさんに叩かれた時、
走って逃げてたらこんなことにならなかった。
そうしたら、きっと、こんな思いを
翔ちゃんにさせないですんだはず……
『Aは、悪くないし、何も責任感じる必要なんかないんだよ…』
私の心の声が聞こえたみたいに、
翔ちゃんはそう言うと
私の頭を、自分の胸に引き寄せた……。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年3月14日 0時
