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振り向いたら、もしかしたらあいつがいるんじゃないか、一瞬そんなことが頭をよぎる。
でも、そんなはずはない。
今、見つめるその先に確かにあいつがいるのだ。
進み続けもう腰の辺りまで海に浸かったかという時、不意に誰かに腕を掴まれた。
「北山！」
振り向くとそこにいるのは先程まで目の前にいたはずのあいつだった。
でも、よく見るとあの頃の藤ヶ谷とは少し違っていて、あどけなさが残っていた顔はすっかり大人びていて聞こえる声はあの頃よりも少し低くなっていた。
「…なんで」
震える声で何とかそう呟く。
「…俺、特攻隊としての使命果たせなかった」
そう言った藤ヶ谷は俺をじっと見つめたまま困った様に笑っていた。
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作者名：あいちゃん弁当 | 作成日時：2019年4月18日 21時
