74:怒りと恐怖。 ページ15
『ごぶッ……』
死神と名乗る男に背中を押された直後、全身に激痛が走った。
地獄、か。
私の地獄は"現実"なんだね。
死ぬのは許されないのか。
重たい瞼を少しだけ開けると、目の前には私を庇うようにして膝立ちしている中也が居た。
『……何で』
太宰「私は中也には触れていないよ」
つまりは、中也が私の異能力に逆らい私を守ってくれたと言う事。
証拠に中也もボロボロに傷付いているし、私も少し傷付いている。
普通なら 感動 という感情が湧き出る筈なのに、怒りと恐怖という感情に私は埋もれていた。
私の目に映るのは中也と太宰さんだけじゃない。
目の血相を変えて私を睨みつける中島敦君
と
狂った目をし、刃物を持つ与謝野晶子
と
真っ白だった髪に鮮血がついた山崎
も映っていた。
自身の異能力にここまで力があるとは思わなかった。恐怖、という感情が湧き上がる。
後、私を守って傷付いた中也に怒りを感じた。
中也を傷付けていいのは、私だけ。
傷付けた奴等にも腹が立つけど、傷付かれに行った中也にはもっと腹が立った。
太宰「で、Aちゃん。このまま私が異能無効化を使わなければ君と中也は永遠に傷付く事になるのだけれど……どうするのかい?」
『……どうぞ』
太宰「うん。無茶はしてはいけないよ、傷付くのは君だけじゃないと云う事を忘れるな」
太宰さんの言葉にも怒りが感じられた。
少し太宰さんは期限を悪くしながらも私に触れて、異能力を無効化してくれた。
先刻の疲れがどっぷりと私を襲い、更に身体に激痛が走る。
血溜まりが出来ている床に寝そべり、天井を見上げる。
先刻までは真っ白だった天井も、今は灰色の混凝土(コンクリート)に変わっている。
太宰「もうすぐ救急車が到着する。中也は流石に病院側に預けるのは無理だから与謝野女医に治療してもらうとして……病院に行かないといけないのはAちゃんと君のお兄さんかな」
『お兄さん?』
お兄さんって誰。
私に兄なんて居ない。
太宰「君の近くに倒れている男性だけど」
視界を太宰さんが指さす方向に向けると其処には知らない男が大量の血液を流し倒れていた。
……いや誰この人。
『私こんな人知りませんよ』
と言うと太宰さんは「嗚呼」と納得したような顔をし、微笑んだ。
太宰「私の勘違いだったよ、ごめんね」
太宰さんの微笑みの裏には何か隠しているように思えた。
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キヨ(プロフ) - 一言。おもしろすぎる!!! (2018年3月10日 0時) (レス) id: dce48f9ebd (このIDを非表示/違反報告)
瑠中(プロフ) - え、続きが気になって夜も眠れn((この作品大好きです!!もう、もう、大好きです(語彙力)更新頑張ってください、いつまでも待ちますよ!! (2017年12月11日 23時) (レス) id: 85b8b74290 (このIDを非表示/違反報告)
生華(プロフ) - みりんさん» 楽しみだなんて……滅相も御座いません。夢主様を想像と合っていると言ってもらえると凄く嬉しいです……有難うございます! (2017年6月16日 23時) (レス) id: e20f570410 (このIDを非表示/違反報告)
みりん - これ本当に最近の楽しみにしています!出てくる中也さんもかっこいいし夢主もだいぶストライクです!頑張ってください! (2017年6月16日 7時) (レス) id: 7cc03e2002 (このIDを非表示/違反報告)
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