検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:331,839 hit

32話 ページ33

「…心配した」


「うん」


「いなくなったらどうしようってずっと考えてた」


「…うん」


「もうどこにも行くな」


「行くかよ……」



「好き、大好き」


「私も好きだよ」




こんなにヘタレてる京介を見たのは初めてだ。それすらも愛おしくて、好きだと思える私はかなりアレなんだろう。


……そんなの知ったこっちゃない。



逆戻りした距離は一気に埋まるもんなんだなぁと感じる。違和感はいつの間にか消え去って忘れてしまった。もうどんな感覚だったかも思い出せない。



今は幸福と優越感とふわふわしたなれないのに居心地のいい感覚に包まれている。



刹那、唇に柔らかい何かが触れる感覚が走る。視界いっぱいに映る満足気な京介の顔、何をされたか気づくのに時間はかからなかった。

顔が火傷しそうなほど熱を帯びて、真っ赤になる。



「可愛い…」


「は、へ、……っん」



思わず目をそらそうと思ったら勢い余って顔まで逸らしてしまった。が、グィっと掴まれて向き直され、間髪入れずに唇が重なる。



かなり長めにされたキス。慣れていないのと緊張のし過ぎと言うのも相まって息が切れてふらつく。さっきから抱きしめられてるから倒れはしないのだけど…


「俺の事好き?」


「…好きだけど…文句あるわけ?」


「いいや、俺が嬉しいだけ」


「恥ずかしいんでそろそろ離してもらってイイデスカ」


「ん、嫌に決まってんだろ」



真顔で言うもんだから多分離してはくれないらしい。


…諦めた方がいい気がする。


それがちょっと嬉しいっていうのは絶対に黙っておこう。





____




田中 A。B級隊員の彼女はA級隊員の烏丸京介に平凡を貫けなかったらしい。

後日談→←31話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (146 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
351人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

弓月有無%(プロフ) - コメント失礼致します。昔拝読させて頂いており、こうして再び出会えて嬉しい限りです!甘い感じできゅんとしました!事情があると思いますので、気が向いたら続きや他作を読ませて頂きたいです。大好きなので!迚も面白かったです是からも応援しております!! (5月5日 16時) (レス) @page39 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
じゆんきむ(プロフ) - この作品を昔読ませて頂いていてすごく好きで久しぶりに読みたくなって探したのですが、続編が消えてしまっていました、、もし作者の方が見れるようでしたら続編復活してして欲しいです!! (11月1日 22時) (レス) id: b4c10966c3 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 木戸司令じゃなくて城戸司令ですよ! (2020年12月11日 22時) (レス) id: e84559c347 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とーすと | 作成日時:2020年4月6日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。