「女子会再び」(陸) ページ6
「それとですね。根が優しいところが好きです」
聞いた金魚姫は口をあんぐりとさせる。
「や……やさっ……優しい……!? スサビが!? スサビのどこが!?」
信じられないと大きく顔を歪ませた。
「きっ、金魚姫ちゃんっ……!」
荒に対して明らかに失礼な金魚姫の反応を、かぐや姫は弱々しくも指摘する。
たが内心では、金魚姫に同感出来る点があった。
前回の女子会にて煙々羅が語った、とある子供の悲しい物語に「くだらない話」だとか「より残酷な物語は他にもある」と言った点だ。
その際には、優しさという感情は付け入られる原因となるから不要だとも言っていた。
何があってそう思っているのかは、金魚姫やかぐや姫には知る由など無いのだが、そうなると他者に優しくしようとはしない者であると思わざるを得ない。
「荒様は、言葉が足りなかったり言い方が厳しかったりするだけで、本当は相手を思い遣ってくださっているのですよ」
Aはどこか切なそうに言った。
それは荒の不器用な優しさを、身に染みて実感したからこそ語れる言葉である。
「何でそんなことが分かるの?」
荒には冷たい印象しかない金魚姫は、どうも納得がいっていないようだった。
「まあまあ。恋人同士にしか分からないことなのよ。きっと……」
宥めるような声音の煙々羅が、突っかかろうとしている金魚姫の肩をそっと掴んで自身に寄せた。
「煙々羅の言う通りなのかもしれません……」
はにかむようにAは微笑む。
「ですが、ちゃんと向き合えば誰方でも理解出来ると思います。荒様の優しさが」
そう言ってAは荒を見つめた。
親愛に満ちた瞳を、荒はしかと受け止めていた。
「うーん……スサビにも思い遣りの心があったなんて……」
Aは間違ったことを言わないと信じている金魚姫は、何とか納得しようと唸った。
腕を組み首を捻り何か考える仕草をしてから、金魚姫はある面白いことを思い出した。
「あっ! そう言えば! ねぇ聞いてよAー!」
「はい、何でしょう?」
「スサビったらねぇ、荒川に来た時にねぇ」
金魚姫は堪え切れない笑みを浮かべている。
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イズモ(プロフ) - 茶々丸さん» わ〜ご愛読ありがとうございます!!…荒の声優さんに念を送ってもらいましょう!(平安京ラジオ) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
茶々丸 - 一年経っても見させてもらってます!荒来てくれえぇぇ!大歓迎だぞぉぉお! (2019年9月23日 10時) (レス) id: 65a910c7b3 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 横ごりらさん» !!確かに!荒って何か…自分のこと好きじゃなさそうな気がするんですよね…伝記でもどっちかと言うと人間より自分を責めてる感があるように思えますし…どれも個人意見ですが(´-ω-`)こちらこそ、荒のこと語り合えて楽しかったです!ありがとうございました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 「愚か者め!」「愚かな・・」とかもよく言ってますが、「愚か」って、自分自身にも思っててよく使う言葉なのかな・・とも思いました>< いえ!とんでもないです!またイズモさんのお話を聞けてとっても嬉しいです!(^///^)お返事くださり有難うございました! (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 私も想像になってしまいますが、もしも叱ってくれているのだとしたら本当に優しいですよね・・・常に無表情で厳しい言動の裏では、本当は自分以外の存在をいつも気にかけてくれているのかなと思えます(;_;)いっそ本心から見下して関わらなければいいのに・・(;_;) (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イズモ | 作成日時:2018年6月30日 20時