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「荒海の神子」(弍) ページ38

「もしや何か関係があるのではと思い、スサビ様に話を持ち掛けてみたのだが……」


少年の姿を目にした荒は怒り……否、明確な嫌悪の表情を見せた。


その恐ろしい視線を全身に浴びてしまったことを思い出し、男の背筋が凍った。



「……荒様は何と?」


そうAは聞いた。


男は遣る瀬無さそうに答える。



「海から来たのなら海に戻せと、仰られた」



「……」



そんな残酷なことを、過去の自分自身に言い放ったというのか。


動揺しながら、Aは再び少年の方を見た。


……可哀想に、怯え切ったようにガタガタと震えている。


痛ましいその姿に、Aの胸がきつく締め付けられた。


同時に、自分がなんとかしてやりたいという想いが沸々と湧き上がってきた。



「……この子は、私に任せて頂けませんか?」


男は驚きながら、やけに真剣な表情のAを見た。


「しかし……」


言葉を濁らせながら、男は横目で少年を伺う。


確かにこの少年の見た目は、無害でいたいけな子供である。


だがそれは我々を欺く仮の姿で、本当に海から来た妖なのだとしたら、みすみすその身柄を都に置いておく訳にはいかなくなる。


荒が無情に放った「海に戻せ」という言葉も、よもや少年が都の脅威であるという警告なのかもしれない。


最悪の展開を想像し危惧する男を他所に、Aは更に真剣に続けた。


「一先ず私が様子を見てみたいのです。もし何かあれば、必ず報告致しますから」


「……分かった。ならば任せたぞ」


陰陽術の腕が立ち、加えて面倒見も良いAが、これ程にも熱心に保護役を買って出ようとしているのなら、思い切って任せてみるのも一つの手だろう。


男はそう思った。


それでも拭い切れない不安を何とか押し殺し、男はAに少年の身を託して自分の仕事場へ戻って行った。



Aと少年は二人きりで向き合った。


周りに誰もいないことをしっかりと確認してから、Aは挙動不審な少年にはっきりと尋ねた。



「貴方は先見の明の能力を神様から授かって生まれた子……それで間違いありませんね?」

「荒海の神子」(参)→←「荒海の神子」(壱)



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設定タグ:陰陽師 , 陰陽師(ゲーム) ,   
作品ジャンル:恋愛
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イズモ(プロフ) - 茶々丸さん» わ〜ご愛読ありがとうございます!!…荒の声優さんに念を送ってもらいましょう!(平安京ラジオ) (2019年9月23日 18時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
茶々丸 - 一年経っても見させてもらってます!荒来てくれえぇぇ!大歓迎だぞぉぉお! (2019年9月23日 10時) (レス) id: 65a910c7b3 (このIDを非表示/違反報告)
イズモ(プロフ) - 横ごりらさん» !!確かに!荒って何か…自分のこと好きじゃなさそうな気がするんですよね…伝記でもどっちかと言うと人間より自分を責めてる感があるように思えますし…どれも個人意見ですが(´-ω-`)こちらこそ、荒のこと語り合えて楽しかったです!ありがとうございました! (2018年9月11日 21時) (レス) id: 2950d60cf9 (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 「愚か者め!」「愚かな・・」とかもよく言ってますが、「愚か」って、自分自身にも思っててよく使う言葉なのかな・・とも思いました>< いえ!とんでもないです!またイズモさんのお話を聞けてとっても嬉しいです!(^///^)お返事くださり有難うございました! (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)
横ごりら(プロフ) - イズモさん» 私も想像になってしまいますが、もしも叱ってくれているのだとしたら本当に優しいですよね・・・常に無表情で厳しい言動の裏では、本当は自分以外の存在をいつも気にかけてくれているのかなと思えます(;_;)いっそ本心から見下して関わらなければいいのに・・(;_;) (2018年9月11日 9時) (レス) id: 72764b205c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イズモ | 作成日時:2018年6月30日 20時

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