夢の浮橋

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「…誰が傷付けて良いって言った？」
瞳孔ガン開きで、真っ赤な双眸に射抜かれる。白く長い指と爪が食い込む程に腕が掴まれ、自分で傷付けた傷口と爪が食い込んだ傷口、その両方から血が流れた。それに構うことも無く、あなたに問いかけ、また洗脳するかのように薄い唇から言葉が発せられた。
「なぁ、お前は誰のものなのか言ってみろって。…俺のもんだろ？」
「お前は俺のもので、それは今までもこれからも変わることはねぇよ。そうである以上、俺以外がお前に傷をつけることは“俺”が許さねえ」
「(追い詰めたヤツは潰す。…でもまあ、それは後回しだな)」
汚れ仕事の前に、あなたの身も心も、全てが彼の所有物であることを。


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「あーあ、そんなにしちゃって。痛いですよね？」
曲がりなりにも自分の彼女が自ら自分を傷付けているのに、眉一つ動かさず笑顔のまま。何だかそれが悲しくて虚しくなって、あなたが涙を流しながら顔を上げると、彼の手には人間の頭があった。ゴトッと音を立ててそれは床に落ち、あなたに神父が語りかける。
「もう安心していいですよ、コレがあなたの悩みのタネでしょう？」
「大丈夫です、僕があなたを守ります。何があっても、君が何処まで堕ちようとも、僕が必ず側に居ます。ね、もう怖いものはありません」
「(…君が僕以外の誰かのことで悩むなんて、許せないから)」
あなたの全てを守る代わりに、あなたの全ては彼の意のまま操られて。

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