プライドがあるからこそ。 ページ6
「やっぱつえーなおまえ」
リボーンさんは顔色ひとつ変えず、ヒバリに話しかける。
「君が何者かは知らないけど、僕今イラついてるんだ」
そして、当のヒバリも突然赤ん坊が話しかけてきたにも関わらず、ただ邪魔が入ったとしか思っていない口ぶりだ。
強者は……いや、リボーンさんは実際どうなのかは知らないが、やはり肝が据わっている。
もしかしたら、自分の目的を遂行すれば他はあまり関係ないスタンスなのかもしれないけど。
「横になってまっててくれる」
それも相まってかヒバリは、リボーンさんにも問答無用でそう言い、トンファーを振りかぶった。
しかし、彼が恐らく一撃で蹴散らそうとした赤ん坊の手により、攻撃は防がれる。
しかも、あまり見かけない武器で。あれは、確か十手とかいう名前のものだったと思う。
兎にも角にも、ヒバリの攻撃はあんな小さな武器で受け止められる程の重さではなかった。
ヒバリが油断したという可能性を加味しても、明らかに一般人のキャパを超えている。
リボーンさんの謎は、私の想像できない深淵にまで達しているのではないかと畏怖を抱くほど。
それでもヒバリは楽しそうに笑う。
「ワオ、すばらしいね君」
きっと、これからが彼にとって本番となるはずだったのだろうが、それはリボーンさんの行動によってなくなってしまった。
リボーンさんの、爆発を起こす、という行動によって……。
それから、爆発をどうやって逃れたかはよく分からない。
位置をリボーンさんが考えてくれたのかもしれないが、真実は闇の中だ。
その後、煙が弱まり、いつもの調子に戻った沢田さんと二人で残った二人を応接室から運び出した。
また、後から聞いた話によると、私達はリボーンさんによってわざとヒバリに引き合わせられたらしい。
彼曰く、「平和ボケしないための実践トレーニング」だそうだ。
それを聞いて沢田さんは悲嘆に暮れていたが、私はとてもそんな気持ちになれなかった。
沢田さんがヒバリに攻撃を入れたこと、本気にさせたこと。
そして、リボーンさんがヒバリの攻撃を軽々と受け止めたこと。
全て、私には出来なかった。
こんなことを比較するのは馬鹿馬鹿しいかもしれない。
それでも、剣道を習っている、という驕りがあったことは否めず、勝てなかったこともまた事実だ。
正直に言うと、悔しい思いを消すことは出来なさそうだった。
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作者名：春夏秋冬 | 作成日時：2020年3月15日 16時
