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「アヘンを知っているか?ケシの実から採取される奴だ。アヘンは危ない薬の原材料として使われる事もあるが、麻酔の元にもなる。余談だが、生のアヘンは不純物が多くてな、効き目が弱い」


片手を顔の前に置き、目を閉じ、集中している素振りの永広。


「モルヒネと呼ばれる有名な麻酔にもアヘンは使われる。現在に至るまでにおいて、モルヒネは陣痛剤の中でもトップクラスのものとされた。私の術式はそのモルヒネのように、痛みを脳に伝える神経の活動を抑制し、鎮痛作用を示すもの…とまぁ、ここまではWikipediaなどを使って私が調べたモルヒネとアヘンについてだ」


永広の身体から、蝶が生まれていく。美しい羽を持つ蝶だ。


「何が言いたいかと言うと、私の術式の活用方法に関する事。私のこの蝶は、麻酔にもなれば、命取りの薬にもなる。当たらないように気をつけてくれ」


そう言い放ったその時、蝶の大群が伏黒、釘崎に襲いかかった。


「クソっ!いくら呪力で打ち消してもキリがねぇ!」

「ちょっと!蝶も近くで見ると虫ね!何喋ってんのか全然聞こえないし!」


今の状況を言い表すのであれば、しごかれていた。


「当たったら終わりの術式を持つ呪霊との戦いを想定するんだ。一つ一つの行動が命取りになるぞ」

「もっと分かりやすく説明しなさいよっ!」


釘崎が自身の術式で、釘を蝶に突き刺した。ヒット。作った隙で、伏黒が攻めに行く。

もらった、どう考えても死角を狙ったつもりが、気付いたら上に青空。


「…伝え忘れていたが、これらが全てブラフの可能性もある。君達を襲っていた蝶は、毒を持たせないようにしていた。むしろ、怪我を治すように改良してあるものだ」

「…無駄骨じゃないですか」


伏黒が、永広に背負い投げをされたのだ。自分よりも身長の低い、華奢な女にだ。


「私の計画台無しにしてんじゃないわよ伏黒ォ!」

「うるせぇ!もう1回行くぞ!もう1回!」

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作成日時:2021年3月9日 0時

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