【呪術廻戦】モルヒネ (ページ17)

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五条と永広が畑を離れ、村に戻ると、昼時はとっくに過ぎていた。

「腹減った」

「ごめんなさい。今すぐ作ってくる」

五条の呟きを聞いて、永広が動いた。屋敷にある台所へ向かっていく。

それとほぼ同時に、五条の後ろから声がかかった。

「お、オマエさんはいつかの子じゃあないか。Aちゃんは居ないかね」

「ん？誰、爺さん。アイツなら台所行ったけど」

老人は、焦った顔で言い放った。

「蓮川さんが…」

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夜は雨が降った。

土砂降りで、外にはあまり出たくないこの天気の中。蓮川宅には大勢の人間が集まっていた。

1つの布団に寝ている人物を囲んで。

「あぁ、蓮川さん…逝ってしまわれるのですか…」

誰かの呟きが部屋に響いた。中心に居るのは、蓮川櫻子だった。

五条は外から輪を眺める。永広は蓮川のすぐ側で手を握っている。

「婆さま、婆さま、まだ頑張ってください。嫌だ、死なないで」

蓮川は返事の出来る状態では無かった。目を瞑ったまま、僅かな心音を鳴らしている。

誰かが気を利かせたのか、段々と老人達が屋敷を出ていった。永広と蓮川だけ残してあげようとしたように見えた。

五条はそれでも、様子を眺め続けようとした。そこに、また誰かが五条を引っ張って外に出した。

「何すんだよ、離せ雑魚」

「今は、2人にさせてあげよう。理解してやってくれ」

「…あのババアはアイツを何一つ丁重に扱ってなかったじゃねぇかよ。なんで今更2人きりになんか」

「そう言う時が人生にはあるのさ。君はまだ若いから、分からないかもしれないがのう」

何も言えなかった。自分は永広と会ってたったの数日。しかし蓮川と永広は何年も時を共にしたはずだ。

たかが自分では、居ても無意味である。

老人の言っている事がようやく理解出来て、五条は部屋に戻った。