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太陽が南中する頃、永広は花植えを終えた。元々生えていた苗を畑に移した為、色とりどりに花が咲いている。
五条はぐったりとしていたが、終わったように見えた作業に喜ぶ。と思いきや最後に水をあげるそうで、終わってはなかった。
「ぐえっ、暑くねぇの?長袖だし」
「暑い…けど、婆さまが日焼けをするなって言うから」
それもこれも、全部将来の為ってね。
「知らぬが仏…」
「何が?」
「何でもない」
あと一日で、永広はこの村を離れる、五条が説得出来ればの話だが。そこまで思い出して、任務の事をすっかり忘れていた事に気づいた。
「あっ、おいオマエ」
「何?」
「明後日から高専で呪術師な」
「…どういう事?」
もっと前から段階を踏んで話せば良かったと後悔するが、仕方ない。五条は腑抜けた声を出してから、説明する。
「俺、ここの任務2つあってさ。そのうちの1つ、お前を高専に入れる事なんだよ。んで、明日傑…俺じゃない術師が来るから、明日で村とはおさらば」
「……婆さまに話したの?」
「は?そもそも、オマエの大好きな婆さまが依頼したんだよ」
「じゃあ私、この花を見る事も出来ないの?」
ハッとして永広と目線を合わす。今にも泣きそうな顔でこちらを見ていた。
バツが悪そうに五条は頭を搔いて、やってしまったと直感する。
沈黙が2人の間を流れ、一瞬のような永遠のような体感時間を苦し紛れに五条が打ち消した。
「……高専に来た後、また来ればいい」
「え?」
「俺が連れて来てやればいいだろ。1年おきでも1ヶ月おきでも1日おきでも。来たくなれば来ればいい。永遠の別れとかにしなきゃいい話じゃん」
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作成日時:2021年3月9日 0時