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結局、永広が五条と会った時に着ていたワンピースに似たスカートと、それに合わせる用のシャツを買った。
「待って五条、私が、私が払うから」
「うるせぇ奢ってやるって言ったら奢られるの常識だから。じゃなきゃ可愛げの無い女に見られるぞ」
「可愛げが無いとダメなの?」
「…さぁ」
五条の持つ金で、代金は払われた。
「やっと食いに行ける…」とため息をついた五条に、「じゃあ私の服など構わず行けばいいのに」と返す永広。
「女避けだっつったろ」
「女避け…と言うのは、私が居ると出来るもの?」
「あーそうそう。ま、ぶっちゃけ誰でもいいけど」
ふと、永広が「良かった」と言った。道具のように使われる事の何が良いのかと、五条が不思議そうに見れば、頬を緩めている永広が目に入る。
「役に立てた」
なんとまぁ、変な奴だな、と。拍子抜けした五条は問いかける。
「……不名誉な事じゃねぇの?」
「女避けというものが?」
「普通はな」
「…そう。でも、誰かの役に立てる事は大事だから」
何処までも真っ直ぐにそんな事を言うものだから、五条は少し笑った。
人の役に立つ立たないは、五条にとってどうでもいい。永広の考え方だって理解し難い。
けど、永広のそんな思想だけは、祖母の意思とはまた違ったように見えて、安心したのだった。
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作成日時:2021年3月9日 0時