10 ページ12
数秒見つめ合った後、掌は徐に引っ込められ、白い「手」を弄り始めた。
「……いや、何でもない」
要領を得ない呟きに首を傾げていると、再び足音が聞こえた。今度はしっかり雨具を携えた、加えて聞きなじみの深い足音。
「遥」
「鋼兄さん」
どうやら夕立ではない本格的な雨だったようで、止みそうにないから迎えに来てくれたらしい。手には差したものより一回り小さい傘とタオル。
「転弧さんは……」
「すぐに迎えが来るから。先に帰ってていいよ」
そうはいっても、この雨の中に一人残していくのは気が引ける。
少し思案して、鋼兄さんが持ってきてくれたタオルを、転弧さんの頭に被せた。
「わ、」
「風邪ひかないようにしてくださいね」
「ん。……また、な」
「……はい、また会いましょう」
彼と翌日以降の約束をしたのは、これが初めてだった。
どちらともなく零れた笑みに、手を振って帰路についた。
.
.
.
「また」は、長らく果たされなかった。
.
.
.
再会は、10年と少し、後のことである。
＊＊＊
「……あの子は、よかったのかい？」
「うん。痒みもなかったし、……崩したくないって、思った」
＊＊＊
20.05.04
一話ぐらい追加してやろ、の気持ちで書くと倍になってしまう作者です。
25巻のせい。時系列は漫画読んでる人には伝わる……かな……()
外出自粛GWですが、皆様も体にお気を付けて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 831人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らべんだー - いつも楽しませていただいてます！アリババ君は出てくるのでしょうか、、出てきてほしい！です！ (2020年5月6日 1時) (
レス) id: e9a4cf0eda (このIDを非表示/違反報告)
AYAAYA(プロフ) - 握力で測定器へし折りそうだねー (2019年6月22日 17時) (レス) id: df90ade64c (このIDを非表示/違反報告)
李鈴(プロフ) - あぁぁ、最っ高！こういうの欲しかったんです！ありがとうございます(><) (2019年2月12日 9時) (レス) id: ff3f8f1243 (このIDを非表示/違反報告)
操菜 荘椏(プロフ) - 続きが気になります！頑張ってください！ (2019年1月8日 22時) (レス) id: 973a3c6c76 (このIDを非表示/違反報告)
やっかちゃん(プロフ) - 夢小説読みまくった私にとってはそんなに違和感は感じないですが、作者さんの好きな風に書くものですから、今考えてるという案で全然問題ないと思いますよ！最後に、ヒロアカの推し全く一緒でした嬉しいですいつも楽しく読んでます更新楽しみにしてますね！ (2018年11月6日 23時) (レス) id: 37cb2170f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：灰猫 | 作成日時：2017年8月28日 6時
