【名探偵コナン】諸伏家の嫁。３

第119話 ページ31

いつも笑顔な上原さんが私の目を見て真面目な顔で言った。


『え…妊娠…？』


上「そうよ。私は経験したことないけど、だるさや熱っぽさは妊娠の初期症状らしいわよ。あと頭痛も。」


『で、でも私が妊娠したなんて、そんなことは…ない…はず…』


上「アレはどうなの？月いちのアレ。」


『えっと、最後に来たのは確か…』


１ヶ月半ほど前。同棲を始めたり東京に行ったりと忙しかったから意識してなかったけど、思い返してみるとアレが来ていないことに気付いた。


『遅れてますね、少し…』


上「やっぱり、おめでたなのよ！」


体の不調だけならまだしも、アレが遅れているという条件も揃っているから反論しようにもできない。高明さんとそういう経験がないわけでもないし…


上「あぁ、嬉しいわ！ついにAちゃんと諸伏警部の子どもが見られるなんて！」


『ちょっと上原さん、お声が大きいですよ…』


上「だって嬉しいんだもの！Aちゃんももっと喜ばないと！」


『喜びたいところですけど…』


高明さんとの子どもを妊娠したのは確かに嬉しい。私も上原さんみたいに喜びたいけど、そうはいかない。


上「あら、あんまり嬉しくなさそうね。子どもは好きじゃないの？」


『好きですよ。でも、私たちはまだ結婚してないです。』


結婚していないのに子どもができてしまったら、これは俗に言うできちゃった結婚になってしまう。


子どもができたことも結婚できることも嬉しいけど、できれば順番は守りたい。


それに仕事だってあるし組織問題も解決していない。降谷さんからもまだ結婚するなって言われている。そもそも交際していることも隠してるのに。


そして何より、警察官ができ婚なんてしてもいいのだろうか。真面目な高明さんのことだからきっと責任感じちゃうだろうし。


でき婚自体は決して悪いことではない。新たな命が芽生えて誕生するんだから本来なら上原さんの言う通りに喜ばないといけない。でも…


上「とにかく、諸伏警部とよく話し合ってこの先どうするか決めた方がいいわよ。これはAちゃんだけの問題じゃないんだから。」


『わかってますよ。でも、高明さんが受け入れてくれるかどうか不安です…』


上「大丈夫よ。せっかく新しい命を授かったんだから、諸伏警部もきっと喜んでくれるわ。」

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