【名探偵コナン】諸伏家の嫁。３

番外編２―１【異次元の狙撃手】 ページ9

《諸伏side》

Aさんから妹の面倒を見てほしいと頼まれ、残りの仕事を敢助君に押しつけて定時前に県警本部を出た。


Aさんの妹さんには軽井沢で会った時から嫌われているようで、面倒を見るというのは正直不安だった。


しかし、Aさんからの頼みを断ることはできず、さらに妹さんとも和解できるかもしれないので東京まで車を走らせた。


これは敢助君や上原さんからも指摘されたし、自分でも自覚していることだが、私はAさんに甘い。


彼女が骨折した時には仕事を半分以上手伝ったり、家に住まわせてお節介なほど過保護な扱いもした。


今回も、ただ妹のそばにいてほしいという頼みだけで、わざわざ仕事を早退してまで東京に来ている。


だが、これらは不思議と苦ではない。むしろもっと彼女のために働きたいとも思う。それはきっと、自分でも驚くほど彼女に心底惚れているからだろう。


彼女の人柄の良さには元から惹かれていたが、交際を始めてからは彼女のさらなる魅力に引き寄せられて完全に虜になってしまった。まさにブラックホール。


彼女にここまで惚れ込んでいるからこそ、彼女に対して過保護になってしまい、手放したくないと強く思う。


悲しくも、Aさんの魅力に引き寄せられた者は私以外にもたくさんいる。長野県警内にファンクラブまで設立されていることも知っている。(上原さん情報)


大丈夫だとは思っていても、Aさんが自分から離れていってしまわないか心配になる時がある。


そして、その心配をさらに加速させているのは紛れもなくAさん。


同棲生活を始めて少し経った頃にAさんの不可解な行動に気が付いた。


よく誰かと電話やメールをしているようで、誰なのかと聞いても友達だとはぐらかされる。そして夜中にベッドを抜け出したり過度な早起きをしたりして何かをしている。


今日もAさんにサイコロのことで電話をしている時、スピーカー越しに男の声が聞こえてきた。


その直後に電話を切られたことから、あの男は私に知られてはならない存在であることがわかった。


それにサイコロについて我々(大和班)の発見した事柄を聞いただけで、Aさんより先に正五角形に気がつくとはかなりの頭脳の持ち主。


あの男は何者で、Aさんとはどのような関係なのか。そしてAさんは私に何を隠しているのか。

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【異次元の狙撃手】の高明さん視点です。

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