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新一くん……。新一くんがいればこんな事件、すぐに解決しちゃうのに。私にはまったく分からないこともスラスラ答えられちゃうのに……。あのバカ……なんで蘭と一緒に行っちゃうのよ
なんとなくセンチメンタルな気持ちになり、ポケットに入れていた麻生圭二さんから届いた手紙を開く。
「Aちゃん……これって?」
隣にいたユイさんが手紙をみて目を丸くしていた。
「小五郎のおじさんに届いた手紙なの。私と松田さん、萩原さんはこの手紙を調べるために島に来たん……ユイさん?」
ユイさんに島に来た経緯を話すがこちらの話は耳に入っていないのか、ぶつぶつと呟きながら何かを考えていた。そんな時――――――――
「もしかしたら……まだ殺人は終わってないのかも」
「さ、殺人が終わってないって……」
いきなりのユイさん爆弾発言に頭が殴られたような衝撃をうける。ユイさんは険しい顔のまま手紙を私にも見えるようにしてくれた。
「影が消えはじめるってことは光に包まれる……。つまり、さっき公民館で流れていた『月光』のこと。」
「そっか……12年前に亡くなった麻生さんも、2年前に亡くなった前村長さんもその直前まで弾いていたのが『月光』……。それに川島さんの時も……。そ、それじゃあここの消えはじめるって…………」
ユイさんは私としっかり目を合わせて頷く。
「そう。だからまだ殺人は終わらないってことだと思う」
重たい沈黙が2人を包む。これはおじさん宛に送られてきた手紙……。つまり、殺人予告だったのだ。
次から次へと衝撃的な事実に混乱しながらもある事が頭に浮かぶ。
「ピアノ……」
「Aちゃん?」
「あの公民館のピアノ!全部あのそばで事件が起きてる!どうしよう……松田さんと萩原さん……!ユイさん!公民館に戻ろうよ!!」
ユイさんに戻ろうと声をかけるが体は公民館に向かって走り出していた。「Aちゃん!待って!Aちゃん!」
ユイさんの声をBGMにしながら私は脇目を振らず公民館に向かう。
「ったく、なんでオマエがついていながら戻ってきたんだよ。緑川」
公民館に戻った私とユイさんを見て案の定松田さんは不機嫌になっている。そんな松田さんを萩原さんとユイさんが宥めている。私はユイさんの後ろに隠れながら様子をみていた。
「松田、ちょっと落ち着きなよ。Aちゃん、松田や萩原のこと心配しているんだよ」
「心配ィ?」
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作者名:久春 | 作成日時:2023年11月23日 12時