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『緊張してるの？』
「なんでお前は余裕そうなんだ…」
『余裕じゃないよ。かなりドキドキしてます』
「うそつけ」
嘘じゃない。
野上は知らないだろう、頑なに野上の裸を見なかった理由。
そもそも一人風呂が好きなのもあるが、男所帯の大風呂に入ることは俺的に避けたいことだった。
色々と目のやり場に困るし、野上の裸なんて見たら鼻血が出る可能性もある。
付き合ってない好きな相手の裸が見れない、かなりピュアな心を持っているんだ俺は。
まあ、異性恋愛をする一般人はそれが普通なんだろうけど。
『好きな子の裸を見れるほど俺、強くないわけ』
「…ふーん」
わかりやすく機嫌が上向いた野上が、慣れてきたのか開き直ったのか俺の肩に頭を寄せる。
可愛い、彼女みたい。これやっぱり付き合ってる？
かといってお互い、顔は見るけど身体は見てない。
俺も野上も一定の緊張はしてるみたい。もっと慎重に裸の付き合いすればよかったな。
『初めて見たのもう1週間前か』
「、あのときか」
『本気で野上のこと好きって言ってたでしょ。本当はあのとき結構動揺してたんだから』
「俺は」
"あの時の続き、したっていい"
『え』
「……」
『野上さん、あの。野上さん』
「したくないならいい」
ブクブクと湯船に顔を沈める野上は、照れている。
もちろん俺も、照れている。
や、聞いてほしい。あの時の続きって、そういうことですよね。
野上ってチェリーなのになんで発言だけは一丁前なんだろう。謎にかっこいい。
冷静に考えてほしい。
俺たちはほんの数十分前に好きを伝えあったばかり。
それぞれ抱えた悩みがたったひとつだけ解決したに過ぎない。
付き合ってほしいと言えてないし、好きと言っただけでは恋人関係にならない。
ましてや俺は野上にまだ打ち明けてないことあるし、野上だってさすがに気付いてないはず。
様々な問題が残ってるなか、果たして身体を重ねていいのか。
――NO、だと思う。
男のケジメってやつはややこしい。
俺はいったい、何から始めればいいんだろう。
『野上』
「なんだ」
『デートしたい』
「ああ。好きにしろ」
『そうだよなあ、他の奴らにバレたくないよなあ…』
「は？」
『え？』
---
宣杜＝好きって言っただけでまだ付き合ってなくね？やっちまった(実は硬派)
野上＝付き合ってると思ってるしさっさとそういうことしたい(思春期)
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