【メンズ校】Amour à l’infini ③【男主】 (ページ32)

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※野上side ページ32

"宣杜は傷付いたわけでしょ？今、誰かに優しくされたら好きになっちゃうかもよ"

　
　
その言葉を聞いたとき、自身を以て否定できなかったのは何故だろう。

それは、俺に自信がなかったからだ。

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走る。走る。
呼吸が下手になるくらい必死に。

自分はこんなにもあいつのことが好きだったのかと、弊害が生まれるたびに実感する。
そばに居てほしいだけじゃない。俺だけを見ていてほしい、なんて。

"愛の奴隷"
花井に言われたあの言葉を反復しては納得の繰り返し。

女子の二酸化炭素なんてもう要らない。
解毒なんてもんじゃない、宣杜がいないともう生きていくことが出来ない。

隣にいるだけで気分が高揚して、触れ合えば幸せな気持ちに。
唇が触れ合うたびに絶対真空であるように身体軽くなる。

俺は素直に感情を伝えるのが下手だからいつもあいつを傷付ける。
気を遣わせてばかり、そのくせしたいことだけは望んで。

"我儘な王様"

宣杜はよく俺にこう言っていた。

元はといえばあいつが俺の身の回りの世話を勝手にしていたんだ、何も出来なくなっていくのはあいつが悪い。
だから俺が宣杜なしでは生きられなくなるのもまた、あいつが悪い。

責任は取ってもらう、絶対に。
代わりにあいつのことは俺が幸せにする。

　

心中、したって構わないのだ。

　

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遠目に宣杜の姿を捉えたとき、その状況に呼吸が止まった。

いくら宣杜であれど傷心中は簡単に他人に気を許してしまうのだと、怒り。
でもそんな状態にしてしまったのは自分であるのだという、悲しみと寂しさ。

でも一番強く思ったのは"どこにも行かないでほしい"ということだった。
俺のそばにいてほしい、他の奴を見ないでほしい。

昔、宣杜に似たようなことで無理だと言ったことがある。

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「それやめろ」
『なにを』
「その不細工な顔だ」

頬を膨らませて拗ねる宣杜の顔を手で挟むと、軽く口内の空気が抜ける。
内心は俺のことで拗ねているのが可愛いと思っていたのかもしれない。

「…何をそんなに拗ねてる」
『わかってるくせに』
「さすがにお前の前では誰とも会話しない、なんて無理だぞ」