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野上「何…して、」
藤木「おお野上！わざわざ迎えにきたんか？」
野上「ああ、はい。いやそうじゃなくて」
藤木「こいつもずっとなよなよしとるからさっさと抱き着いて仲直りし！」
野上「ですから、俺の質問に」
あっちゃ〜〜〜…。
噛み合わない会話、気まずい俺、怒っていいのか悲しんでいいのかもわからなそうな野上。
気付かない先輩のほうがおかしい。この人やっぱり鈍感、察しが悪い。
自分が今可愛い後輩を襲いかかるようにもみくちゃにしてじゃれてきていたことを思い出せ。
『先輩、一旦、どいてください』
藤木「ん？…あ！すまん！そういうことか！！！」
いや〜いつもみたいに可愛がってたらあかんな！と大笑いしてるが、それが更に火に油を注いでることに気付いてほしい。
砂を払いながら立ち上がりつつ、野上の様子を窺った。
野上の額にまた一つ血管が浮き出ている。嫉妬通り越して相当怒っているな。
さて、これはどう転ぶんだろう。
俺を浮気と罵るか、勝手にやってろとヤキモチ妬いて帰るか。殴られるかも。
俺が逆の立場ならどうするかな。
ずるいって思うかもしれない。それともそのまま押し倒して解らせようか。
考えていたら野上がこっちへ大股で向かってくる。
いつも以上のいかり肩、拳はグーだ。これはドカンと一発殴られる。
バレない程度に身構えて目を瞑ると、次にやって来たのは痛みではなく温かみで。
野上「俺の！なんで！気安く、触れないでもらえますか」
藤木「へ？あ、うん。え？うん」
この人、明らかになんで威嚇されたのかわかっていない。
困ったように俺の顔を見ないでほしい、それも逆効果だよ先輩。
…にしても、野上。それはないよ。
ぎゅっと抱き着かれうるさい先輩に威嚇する姿は本当に可愛らしい。
野上そんな可愛い技どこで覚えたのさ。怒ってないの？怒ってるか、それよりも牽制するなんて野上に愛されている気がしてきた。
あんなに人前で、ましてやこの人の前では隠そうとしてたのに。
堂々と、俺を認めてくれているようなもので。
ああ、好きだな。
にやけそうになるのを我慢しながら、されど野上のデレとも言えるハグを堪能する。
今でこそ収まってるけど、最初少し手が震えてたのは不安かな。
不安にさせてごめんね、野上。
『先輩は恋人が知らない男と密着してたらどう思います？』
藤木「だいぶショックや…考えただけで泣きそう、彼女おらんけど」
『そういうことです』
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