chapter*1-6...大嫌いだから、生きていて。 ページ6
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弱いから。いつ死ぬかわからないから。夢のようにはなって欲しくないから。
だから、これは俺の優しさなんだと。
「お前が弱いからだよ」
そうやって、突き放した。
俯いてしまったこいつは何も言わずに、ただただ無言でいた。
「今日の任務も、」
「いいよ」
だから、これは決定事項だと。そういう為に発した言葉は、残念ながら遮られて最後まで言えなかった。それでもイラつきはしなかった。だって、遮られた言葉は肯定のものだったから。これで、こいつが死ぬ必要は無いんだと。そう思ったのに。
「ただ、今日の任務は行くよ。元々決まってたことだし、最後だし」
にっこりと笑ったこいつは、そう言った。なんでだよ、今すぐって言っただろ。それに、いいよって返したのはお前じゃねぇか。なのに、なんでわざわざ死にに行くような真似、
「最後の任務だから、気合い入れなきゃね」
椅子から立ち上がって、教室を出ようと歩き始めた。反応が遅れておい、と声をかけても立ち止まらない。名前を呼んでも、止まらない。
もし、もしも、ここに傑や硝子がいたら、こいつは止まっていたのだろうか。どちらかが、止めてくれたのだろうか。
「大丈夫だよ、終わったらちゃんと挨拶に来るから」
「おい!」
「じゃあね、行ってきます」
最後に振り返ったこいつの言葉に、俺は何も返せなかった。
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希乃夏(プロフ) - pixivでも見させて頂いていたものです!!占いツクールでも公開してくださりありがとうございます!!更新頑張って下さい!! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:仁篠。 | 作成日時:2021年3月22日 11時