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chapter*3-6...君は僕を弱くする ページ20

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もう来てたの。そう五条さんは言ったから、きっと最初からこの予定ではあったんだろう。……それにしても事前に何か教えてくれないと、とは思う。


「なんで私はここにいるんでしょうか……」


 友人と集まるにしてもわざわざ私を呼ぶ意味が分からなかった。


「お前の話をしたらさぁ? 二人が会いたいって言うから」
「まさかそれだけで?」
「そうだよ?」


 あっけらかんと言ってのける五条さんにため息をついた。


「急に知らない人から名前を呼ばれた私のことも考えてください」
「えー? 名前呼ばれたの?」
「びっくりしたんですからね!?」


 五条さんは動じないだろうけれど、普通の人は知らない人から名前を呼ばれたらびっくりするんです。神経図太そうな五条さんにはわからないだろうけど!


 文句を口にする前に、すぐるさんと隣に座っている女の人から笑われていることに気が付いて大人しく口を噤んだ。
 子供っぽいって思われたかな。いやでも私、高校生だし。高校生は子供でしょう。


「えーっと、すぐるさん? と、」
「硝子でいいよ」
「硝子さんはどうして私に?」
「ちょっと待って!」


 ドン、と五条さんがテーブルを叩く。結構な力で叩いたのか上に置かれたそれらが揺れる。大きな音が店内に響いてチラチラと他の客からの視線を感じた。折角私が思い留まったのに、やめてほしい。


「大人気ないよ、悟」
「うるさい」
「だって可笑しくない!? なんで傑と硝子は名前で呼ぶの!? 僕の方が! 先に出会ってるのに!」
「私は同性だからな」


 ふ、と硝子さんが得意気に笑った。
 うわぁ、美人は笑っても美人。すごい。
 すぐるさんもどこか得意気にしているように見える。そんなに呼び方って大切? あんまり気にしたことなかったな。


「傑は!?」
「いやだって私すぐるさんの名字知りませんし。五条さんがそう呼んでたんで」
「僕のせいか〜!」
「だろうね。まだ名乗っていなかったし」
「はー。いい? こいつの名前は夏油傑。夏油ね、夏油」
「私は傑のままでもいいんだよ」
「ダメでーす!」
「わかりました。傑さんですね!」


 私が名前を呼ぶと満足そうに頷く傑さんと、悲しそうな、絶望したような顔をする五条さん。対照的すぎて面白い。よろしくお願いします、と言うとにこやかに「こちらこそ」と返してくれた。いい人かもしれない。最初の態度、失礼すぎたな。
 五条さんが買ってきてくれたものを口に含んで、飲み込んだ。
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設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟   
作品ジャンル:アニメ
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希乃夏(プロフ) - pixivでも見させて頂いていたものです!!占いツクールでも公開してくださりありがとうございます!!更新頑張って下さい!! (2021年3月22日 12時) (レス) id: 1e5270c5a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仁篠。 | 作成日時:2021年3月22日 11時

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