吸血姫は桜の木の下に舞う 第四幕

開幕「吸血姫は甦る」 ページ40

少女は魔人から真実を伝えられた。



それは余りにも現実離れしていて，信じ難いものだった。



だがそれは彼女を絶望させるには十分過ぎた。



「私は矢張り化け物だった。もう，人として生きられない」



そんな中，武装探偵社とポートマフィアの抗争は加速する。



「マフィアの首領を殺すンです」



それが黒幕の思惑通りだと判っていても。



「悪ぃな探偵社。今日は私怨は抜きだ」



互いの信念，護りたいものの為に地獄を奔る迷い犬たち。



『規則(ルール)の変更は出来ません』



そして探偵社に告げられる少女の真実。



「花柳蓮華と紅桜姫のDNAが完全に一致しました。
血縁関係だとしても完全に一致する事はありません」



「非常に信じ難いですが…彼女は転生して甦ったのでは無いか，というのが此方の見解です」



それを聞いて彼女の仲間達は何を思うのか………



「お互い護るモノが増えましたなぁ」



「十二年だからな。此処で初めて貴君と共闘してから」



傷付けられる部下達の為に，二組織の長は決着を着ける。



「では参りましょう」



「血を見せてくれるのかしら？」



狂気の吸血姫は再起する。



魔人の手を取って。



「罪の………異能者のいない世界を作る為に」



「愚かで罪深き人間共，赤い雫を撒き散らし踊れ」



今此処に，共喰いが始まる。

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