第158話「死神と______」 ページ33
4月10日,同時期に現れた“死神”と呼ばれる青年と共にその存在を確認。
彼等の出生等については未だ判っておらず,引き続き調査を続行。
[某無差別殺人事件について]
政府の重役や表向きには裁き難い犯罪者等を狙った虐殺事件。
しかし徐々にエスカレートし,一般人も巻き込み始めた為,討伐部隊が編成されたが返り討ちにされる。
討伐部隊や一般人も含め,犠牲者は500人にも上る。
数少ない目撃者からの証言によれば,その場には死神もいたが,何故か本人と撃ち合っていたと云う。
事件発生から一週間後,大量の死体の中から実行犯の死体も確認された。
調査の結果本人と断定された為,ヨコハマを恐怖に陥れた無差別殺人事件は,実行犯の死亡によって幕を引いた。
死神は,本人のモノと思われる右腕と左脚が発見された為,死亡と判断された。
生存者と証言と,事件発生時が桜の開花と重なった為,その実行犯はこう呼ばれた。
***
「何時見ても酷い事件や……」
異能特務課の長官,種田山頭火は報告書を見て溜息を吐いた。
するとノックの音が響き,丸眼鏡の青年が入室する。
「……どうやった」
「調査の結果,ほぼ間違い無いかと」
安吾が手渡した書類を見て眉を潜める。
「しかし………正直信じられません。真逆,こんな事が起こり得るなんて」
「あやつらの事は誰にも理解出来んよ。
信じられん結果やったとしても………現にこうして証拠が出揃っとる」
安吾は動揺を隠しきれず声が震えていたが,種田は落ち着いていた。
書類には写真が2枚貼られていた。
一つは蓮華,もう一つは所々焼け焦げていた。
「
其処には白い襟巻きの青年と,蓮華と瓜二つの少女が寄り添い合っていた。
***
『見て!もう満開よ!』
少女は満開の桜を見て楽しそうに笑う。
桜吹雪が彼女を包む光景に思わず頬が緩んだ。
「走ると転ぶぞ」
「子供扱いしないで頂戴」
頬を膨らませて怒る姿さえも愛おしい。
謝りながらも頭を撫でると,彼女は少しだけ機嫌が良くなった。
『私達………ずっと一緒よね?』
『当たり前だろ。死ぬまで一緒だ』
『そうよね』
***
今思えば彼女は予感していたのかもしれない。
この先二人を苦しめた,あの悲劇を。
「………」
白い襟巻きの青年は,人知らずに涙を流した。
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星木雪野(プロフ) - 北見梨衣さん» コメントありがとうございます!気に入って下さって何よりです!ご心配をお掛けしますがこれからも宜しくお願いします! (2020年3月26日 0時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
北見梨衣(プロフ) - 体調大丈夫ですか?いつも楽しく読んでます!更新できる時にして無理しないでください。待ってます! (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9b1e229f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2020年1月11日 0時