第130話「無法者には徹底反撃を」 ページ4
「あの餓鬼は如何だ？」
「他の連中が問いただしていますが，未だ口を割りません」
「まぁ彼奴が吐かなくとも人質に取って恐怖を刷り込みゃ，ちゃちな探偵屋は小鳥みたいにさえずるだろうよ。組合の遺産の在処をな」
男の部下が小さな箱の蓋を開けた。
その中に眠る工具用のハサミは親指の爪が挟まれていた。
「それが“恐怖”っすね？」
「今回の
「探偵社が動き出したそうです」
「俺たちを探しに？無駄なことを」
彼等は犯罪者組織『ザアパルク』。
指名手配犯の寄合で，男は犠牲者の親指の爪を剥ぐ手口から，通称『
「せいぜい苦しんで……」
「開きました！」
破壊音と共に現れたのは探偵社員の太宰，与謝野，乱歩，賢治だ。
爆弾でも破壊出来ない扉をいとも簡単に開けられ，男達は動揺する。
「ば……バカな、この隠れ家を見つけられる筈が」
「乱歩さんが5秒で割り出したよ」
太宰は狼狽る男に向かって黒い笑みを浮かべる。
「君達にはお礼を云わないと……おかげで遣る気が出た」
乱歩は冷たい目で見下ろし，与謝野は鉈を持って微笑み，賢治はいつも通り笑った。
男は仲間を呼ぼうとしたが，探偵社を怒らせたのだ。
当然来るはずもない。
「で，君達が連れてった彼女は何処かな？」
「そ，そうだ！此方には人質が居る！今頃部下にやられて……」
そう云って男が奥の扉を開けた。
「あら……もう皆さん来てしまいましたの？」
信じられない光景だった。
壁には毒の血が飛び散り，何人かの部下は顔を殴られ首に二つの傷があった。
そして中央には部下の血を吸う少女が一人。
「折角食事を楽しんでいましたのに」
吸血鬼は興味が無くなったように部下の男を地面に落とす。
「…ご馳走様」
美しいバケモノに男は絶句して後退りする。
与謝野が男の肩に手を置いた。
「アンタ親指の爪を剥ぐんだって？」
あとはお願いして大丈夫だろう。
蓮華は乱れた前髪をかき上げながら部屋を出た。
「怪我してる。ごめんね，痛かったろう」
「私は吸血鬼ですもの。これくらい平気やで」
頬が腫れた歪な顔でにこりと笑う。
太宰は血が流れる彼女の指にハンカチを添えた。
「与謝野先生。其奴もっとやっちゃって下さい」
「はいよ」
『自業自得とは言え、何か可哀想やな…』
こうして，蓮華の予言通りとなった。
第131話「後日談と赤毛の少女」→←第129話「突如現れた物騒な客人」
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星木雪野(プロフ) - 北見梨衣さん» コメントありがとうございます！気に入って下さって何よりです！ご心配をお掛けしますがこれからも宜しくお願いします！ (2020年3月26日 0時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
北見梨衣(プロフ) - 体調大丈夫ですか？いつも楽しく読んでます！更新できる時にして無理しないでください。待ってます！ (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9b1e229f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2020年1月11日 0時
