第141話「もう一人じゃない」 ページ15
随分と長い時間が過ぎた気がした。
全てを話し合えると途端に怖くなった。信じてもらえるかどうか，不安で拳を握り締める。
すると乱歩が静かに尋ねた。
「君はどうやって，此処が別の世界だと判ったんだい？」
「私の住む世界では異能なんてありませんでしたから」
「え！？」
敦が驚愕の声を上げた。
この世界では異能力は都市伝説ではあるが誰でも知っているものだ。
それに，異能力があれど此処にもどうせ同族がいないと思っていたから。
「吸血鬼になった理由も，死んだ筈の私が何故違う世界にいるのか見当も付きません。現実味のない話である事は承知しております。
……でも，本当の話なんです」
信じてもらえるだろうか，こんな話。
人ではなくて，しかも別の世界から来たなんて。
流れる沈黙が辛くてギュッと目を閉じていると、
「どう社長！僕の云った通りだったでしょ？」
「嗚呼。流石だな乱歩」
「いや〜乱歩さんの予想当たってましたね」
「……え？」
乱歩の声を始めに皆が和やかな雰囲気になる。
予想していなかった展開に蓮華は唖然とした。
「えー……っと、皆さん何の話を……？」
「嗚呼，実は蓮華ちゃんの過去が探偵社の七不思議の一つになっててね。探偵社員でちょっとした賭けを」
「いやいや人の過去で何してるんよ！？
……じゃなくて！嘘だと思わないんですか，こんな話…」
「異能があるんだ。それにアンタは吸血鬼だ。
この際もう驚かないよ」
「まぁ僕は全部判ってだけどね！」
「流石乱歩さんですね！」
『………マジか』
蓮華は脱力して机に突っ伏した。
自分がこんなに悩んでいたのに皆は全て知っていて，
しかも七不思議にされて賭けの材料にまでなっていたとは。
「でも良かったぁ……」
蓮華はふと呟いた。
見られないように，顔は伏せたまま。
「信じて貰えんかと思ったぁ……」
「……そんな訳ないじゃないか」
太宰の声に思わず顔を上げた。
今の彼女は真紅の瞳から涙が溢れている。
「もう一人で抱え込む必要は無い。此処には仲間が沢山居るんだから」
探偵社の皆がその言葉に頷く。
その言葉と光景に，心から安堵して涙が止まらない。
「泣いて良いんだよ」
「今まで良く頑張ったね」
「蓮華さん，これからもよろしくお願いしますわ」
仲間達の声に蓮華は涙ながらに笑った。
「はい！」
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星木雪野(プロフ) - 北見梨衣さん» コメントありがとうございます！気に入って下さって何よりです！ご心配をお掛けしますがこれからも宜しくお願いします！ (2020年3月26日 0時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
北見梨衣(プロフ) - 体調大丈夫ですか？いつも楽しく読んでます！更新できる時にして無理しないでください。待ってます！ (2020年3月25日 23時) (レス) id: 9b1e229f39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2020年1月11日 0時
