第53話「宙吊りの包帯」 ページ8
気付いたら声に出ていた。
蓮華が我に返ると、周りの視線が此方に集中していたので思わず口を掌で覆う。
しかし突然乱歩がガシッと両肩を掴んだ。
「でしょ！？やっぱり君もそう思うよね！？」
「は，はい。ちょっと揺すらないで下さッ…」
肩を思いっきり揺すられ蓮華が苦しみで呻いた。
ぐるぐると目を回していると，刑事が更に顔をしかめた。
「だからこそ素人あがりの探偵になど任せられん。さっさと＿＿」
「おーい，網に何か掛かったぞォ」
川で証拠を捜索していた警察が声をあげた。
「ひっ，人だァ！」
「人が掛かってるぞォ！」
その声で現場が騒めいた。
第二の被害者かと思い皆が川の方へと近付く。
『………ん？この匂いは』
川の匂いに紛れた血の匂いに思わず足を止めた。
そして川から人が引き上げられる。
「やあ敦君仕事中？おつかれさま」
引き上げられたのは太宰だった。
逆さまになった社の先輩を見て，蓮華は呆れて溜息を吐く。
「ま………また入水ジサツですか？」
「うふふ，独りでジサツなんてもう古いよ敦君」
「え？」
太宰はそのまま敦にジサツについて熱弁していたが、蓮華にとっては至極どうでも良い。
「というわけで一緒に心中してくれる美女募集。
あ、蓮華ちゃんは何時でも大歓迎だよ！」
「意味が解りません」
「え？じゃあ今回のこれは」
「これは単に川を流れてただけ」
「なるほど」
「いや，なるほどちゃうやん。もっと突っ込むとこあるやん」
網から太宰を降ろすと敦は今回の事件について説明した。
「何とかくの如く佳麗なるご婦人が若き命を散らすとは……！
何という悲劇！悲嘆で胸が破れそうだよ！
どうせなら私と心中してくれれば良かったのに！」
「……敦，この人もっかい川に沈めませんか？」
「いや駄目だよ！？」
割と低めの声で提案した彼女に敦はゾッとする。
すると蓮華は乱歩に近付いてこっそりと話した。
「どうするんですか？我々はまだ依頼を受けていませんよ」
「そうだねえ。名探偵いないねえ，困ったねえ」
ふと乱歩は近くにいた警官に名前を尋ねた。
彼は杉本と云い，被害者の後輩らしい。
「よし杉本君、今から君が名探偵だ！
60秒でこの事件を解決しなさい！」
「へぇッ！？」
なんとこの名探偵、警官に無茶ぶりな依頼をしたのだ。
＊＊＊
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
