第51話「甘味が足りない」 ページ6
乱歩の発言に首筋に嫌な汗が伝う。
瞳が紅色に染まり、隣に座っている彼をジッと見つめた。
「あの，」
「あ，終わったみたいだね」
訊ねようとした蓮華をさり気なく躱す。
彼に続いてデスクの中から出ると、粗方マフィアが片付いていた。
「やめろっ！」
その時出て行った敦が勢い良く飛び込んで来た。
同時に国木田がマフィアの老紳士の男を投げ飛ばす。
「おお凄え」
男の手を捻りながら戻ってきた敦を叱る国木田。
その際に聞こえた“ゴキッ”という音は聞かなかった事にする。
「国木田さーん，こいつらどうします？」
「窓から棄てとけ」
「あ，私も手伝います賢治さん」
賢治がマフィアを窓から落とす様子を見て少し哀れに思いつつも，蓮華も同じようにマフィアを落としていく。
そして先程投げ飛ばした男を落とそうとすると，落ちる寸前で目を覚ました。
「ッ痛ぇ……は！？何してやがる！」
「見たままですよ。貴方を落とそうとしてます」
「びっくりする程清々しいなお前！ッて押すなまじで死ぬって！」
「ええい五月蝿いなぁ！さっさと落ちろって云ってンねん潔く落ちろ！」
「何だよ潔くって！！」
落ちまいと窓枠にしがみ付く立原と落とそうとする蓮華の攻防戦は続く。
段々イライラしてきた蓮華は小さく舌打ちすると、立原の顎を掴んで無理矢理上を向かせた。
「何す………ッ！！」
蓮華は立原の喉元に噛み付いたのだ。
周りに見えないように、自分の身体で隠しながら。
勢い良くジュルッと一吸いすると、彼の身体の力が抜けた。
「ご馳走様、じゃあね」
「は？ちょっ，手前覚えてろよおおおおお！」
その瞬間，力の抜けた立原の身体を離した。
支えを失った身体は真っ逆さまに落ちる。
『悪くはなかったかな、ちょっと甘味が足りないけど』
そんな事を思いながら蓮華は舌舐めずりをした。
ふと見ると，呆然とした敦の肩に国木田が手を置く。
「呆けてないで準備しろ，仕事は山積みだ」
すると敦は段々と目に涙を浮かべ、そして笑っていた。
その様子に蓮華は目を見開く。
だがそれも一瞬ですぐさま彼にハンカチを差し出した。
「………はい，どうぞ」
「あ，ありがとう……」
「……お帰りなさい」
「た，ただいま………」
彼のぎこちない笑みに蓮華は花が咲いたように笑った。
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
