第84話「吸血鬼と白衣の男」 ページ41
「鏡花、居ましたか？」
「駄目、この辺りには居ないみたい」
蓮華と鏡花は二人で消えた敦達を探していた。
しかし未だ見つかる様子はない。
「蓮華，彼処！」
「え？……あ！」
鏡花が指を指す方に目を向けると，交差点のど真ん中に消えていた人々が座り込んでいた。
その中には勿論敦や谷崎，行方不明だったナオミや賢治の姿もあった。
蓮華が彼等に駆け寄ろうとしたその時，
「あら，レンゲじゃない！」
呼ばれて振り向いた先に居たのは，いつかマフィアで見た金髪の幼女だった。
蓮華の表情が驚愕に染まる。
「エ……リス，さん？何故、貴女が此処に………」
「嬉しい！リンタロウを困らせようと思って撒いて来たけど，こんな所で会えるなんて！」
彼女はマフィアに捕われた時に森と云う首領と一緒に居た筈だ。
という事は敦達が消える直前に居た白衣の男は矢張り______
「あああっエリスちゃん！」
蓮華は目を見開いた。矢張り自分の勘は間違ってなかったのだ。
幼女相手に号泣していた白衣の男は，此方に気がつくと薄く微笑んだ。
「おや，蓮華君。久しぶりだね」
「………お久しぶりですね、森殿」
「そんな睨まないても良いじゃないか。今日は別に君の勧誘に来た訳では無いからね」
そうしたいのは山々だけどね，と森は笑った。
蓮華も何時もの笑みを浮かべているが，真紅の瞳は怒りに満ちている。
「正直，貴方とは極力話したくありません。はっきり云って不愉快です」
「笑顔で酷い事云うねぇ」
「リンタロウが気持ち悪い所為よ」
「エリスちゃん酷い！でも可愛いから許す！」
こう云う所も不愉快極まり無い。
敦と森が話している間も，ずっと彼を睨んでいた。
勿論彼は話している相手が敵の長などと知る由も無い。
「それでは失礼するよ」
「じゃあね，レンゲ！」
結局森とエリスが去るまで，蓮華の表情は険しいままだった。
「そうだ敦，大丈夫でしたか？怪我はありませんか？」
「うん，大丈夫だよ。心配かけてごめんね」
その言葉に安堵していると，傍でゴトッという音が聞こえた。
見てみると，鏡花が何かに怯えるような表情で蹲っていた。
「鏡花ちゃん！？どうしたの！？」
「鏡花！？」
恐怖に満ちた表情で震える鏡花を見て，何となく察する。
彼女は元マフィア，ならばあの白衣の男を知らない訳がない。
「………」
蓮華は鏡花の背中を摩りながら，彼等の去った方を険しい表情で見つめていた。
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
