第75話「懐かしく、焦がれていた」 ページ32
夢を，見ていた。
とても懐かしく，愛おしい夢を。
『お嬢，また傷を増やしたな？あれほどクラスメイトと取っ組み合いの喧嘩をするなと云ったのに』
『だって彼奴らムカつくんやもん！目の前で同級生虐めるんやで！』
『…相変わらずだな』
長い黒髪，金色の瞳。
中性的な声と古風な口調。
呆れつつも怪我の手当てをしてくれる優しい手。
私はその全てが大好きだった。
『あの子もそうや！何でやり返さへんの！？悪いの全部彼奴らやのに何でずっと言いなりに……』
『誰もがお嬢のように強い訳ではない。大抵の人間は愚かで弱い。僕も含めてな』
そんな事ない，貴女は彼奴らとは違う。
そう云おうとした時，私の頭に手が乗った。
『しかし差し伸べられる手があるのなら，その人間は救われる。僕は弱者を救済出来るお前がとても眩しい』
………今の自分を見たら彼の人は何と云うだろうか？
彼の人に会いたい。彼の人が恋しい。
「
「蓮華ちゃん？」
名前を呼ばれて目を凝らすと，目の前に居たのは彼の人では無かった。
其処には包帯を巻いた青年が居た。
最初こそぼんやりと眺めていた蓮華だが，意識が覚醒していくうちに目を見開いた。
「えッ太宰さん！？ッ痛った！！」
「うん混乱してるのは判ったから落ち着こうか」
驚きで飛び起きた所為で腹の傷が痛んだ。
横目で彼の方をちらりと見ると，確かに自分の知っている現上司で同居人だ。
整っていて胡散臭い笑みも鼻腔を擽る甘い香りも，随分と懐かしいものに思えた。
「だ，太宰さん……何故貴方が此処に？」
「敦君に懸賞金をかけた奴を調べたくてね，態と捕縛されてたのだよ」
「嗚呼成る程。でもよく私が此処に居ると判りましたね」
「中也から君が此処に居るって聞いたからね」
どうやら二人は顔見知りらしい。
まぁ彼は元マフィアなので，接点を持っていても何ら不思議ではないだろう。
そう考えていると，突然頬に温もりを感じた。
「……撃たれたって聞いたよ。ごめんね，また痛い思いをさせてしまったね」
「な，何で貴方が謝るんよ。貴方は別に何もしてへんやろ。それにこうやって迎えに来てくれたやん」
頬を撫でる手の温もりと酷く優しいその笑みに思わず目を逸らす。
久しぶりに会ったからか、何だか擽ったい。
「そっか。でも，無事で良かった」
「………ッ」
自分は案外彼の温もりに弱いのかもしれない，と蓮華は思った。
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
