第67話「優しい笑みの裏側は冷たい血の様に」 ページ24
「私が死ねば探偵社が襲われる必要は無くなる。今は貧血ですので効力は落ちるでしょうが，此処で私が異能を使えば貴方達は一溜まりもない………
違いますか？」
「ッ！おい！」
「嗚呼でも，此処の構成員の血を一人ずつ頂いてから死ぬのも悪くないかもしれませんね。
__________とても美味しそうですもの」
蓮華はチラリと扉の前に立つ構成員を見遣ると，妖艶に舌舐めずりした。
それを見た瞬間，構成員は恐怖で震え上がった。
「成る程。探偵社を守る為なら命を顧みないという事か」
「私にとって貴方達の処に行くという事は，人である事を捨てるのと同義ですから」
森は興味深そうに笑うのに対し，背後に居た中也は険しい表情をしている。
「私はまだ人として生きる事を諦めた訳ではございません。私は私の道を貫きます」
真紅の瞳の奥に浮かぶ闇は、まるで本人も隠そうとしない程に輝いている。
純粋無垢な優しい笑みの裏側は，とんでもなく冷たく妖艶で美しい。
「困ったねぇ。君と話していたら益々勧誘したくなってしまったよ」
森は不敵に笑って云った。
どうやら彼方にとっては吸血鬼については然程気に留めていないらしい。
少なくとも彼等が目に付けたのは自分の異能だ。
「無理をさせて悪かったね。怪我が治ってからまた話をさせて貰うよ」
「そうして頂くと助かります。正直身体のあちこちが痛むので」
今日で一番優しげな表情を浮かべた蓮華が会釈をすると，中也は彼女の車椅子を押して部屋を後にした。
彼女の瞳には，光を映していなかった。
＊＊＊
『本来なら此奴は光では生き難い』
エレベーターに乗っている時，中也はそう思った。
出会った時のあの純粋無垢な笑みはおそらく本物だ。
しかし森との会話を聞いて，中也は少女のどす黒い闇と残虐性を垣間見た。
「………手前，本当に吸血鬼なんだよな」
「何ですか今更。まだ信じられないので？」
戯けた口調だがその声はとても静かだ。
今も自身の中に眠るそれを隠そうとしている。
「いや，普通にこうしていれば俺らと大差ねェな，と思っただけだ」
「そうかもしれません、でもその考えは捨てる事をお勧めします」
背を向ける彼女の表情は判らない。
しかしとても静かで，何かを諦めたかのような声だった。
「………蓮華」
「はい」
蓮華は頭だけ動かして振り返った。
いつか見た，何もかも赦してしまいそうな微笑みだった。
「………悪かった」
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
