第66話「闇へのお誘い」 ページ23
取り敢えず事態はひと段落した頃。
中年男性は奥にあるデスクに向かい、椅子に座って此方を見据えた。
『……雰囲気変わったな』
蓮華は思わず背筋を伸ばす。
この建物の中でも色濃い血の匂い，周りの温度が数度下がったような空気。
矢張り彼はこの組織の首領らしい。
冷や汗が首元を伝うが，口角を上げて笑みを作る。
「改めてようこそ，ポートマフィアへ。花柳蓮華君」
「お招き頂き光栄です」
蓮華は紅く鋭い瞳を輝かせながら微笑んだ。
その様子に相手は動揺すらしない。
「私は森鴎外だ。怪我が治りきってないのに呼び出して悪かったね。エリスちゃんがどうしても会いたがっていたものだから」
「そうですか」
「それに“吸血鬼”というのにも興味があったからね」
その言葉に蓮華は気を悪くしたようだった。
小さな舌打ちが中也の耳に届いたからだ。
「………
「いいや。しかし君も薄々判っているのではないかな」
「…さあ？私は唯の化け物ですが」
蓮華は敢えて惚けてみせた。
吸血鬼という存在を，彼方はどう捉えているのか知りたかったからだ。
「蓮華君，ポートマフィアに入る気はないかね？」
その言葉に蓮華は目を見開くと，クスクスと笑った。
森は怪訝そうに眉を顰めた、
「それは実に面白い申し出ですね。こんな醜い娘の何処が良いのか，私には全く理解出来ない」
「聞いたところによると，君の異能は猛毒を宿した血液を刃にして操るそうだね。芥川君の黒獣も見事に破壊し，人体にまで影響を及ばせたとか。
それは物理攻撃だけでなく，異能さえも破壊する。
非常に殺傷性に向いている能力だ」
「失礼ながらお断りさせて頂きます」
蓮華はきっぱりとそう告げた。
向かいの男は笑っているが，その目は全く笑っていない。
「君は異能ではなく，本物の吸血鬼らしいね。うちの部下も何人かやられたよ」
「………何が言いたいのでしょうか」
「日の当たる場所では食事をし難いだろう。此処なら安定した食事を提供できる」
「……………」
蓮華の笑みが一瞬にして消えた。
静かな殺気を放ち，森を睨んでいる。
「それと，以前探偵社に黒蜥蜴を見事に潰されたが，次は全勢力を探偵社に向けたら………どうなるだろうね？」
.
．
．
「……では今此処で，体内の血を全て使って貴方達を道連れに死にましょうか」
第67話「優しい笑みの裏側は冷たい血の様に」→←第65話「吸血鬼と中年と幼女」
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星木雪野(プロフ) - さくさくサックさん» コメントありがとうございます！乱歩さんですか………組合編の辺りに出せたら良いなと考えております！期待に添えられるよう頑張りますのでよろしくお願いします！ (2019年9月15日 21時) (
レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
さくさくサック(プロフ) - あ、主人公ちゃん乱歩さんの血を吸ってほしい…乱歩さんの＿＿ぐへへ〜!!!!(＾p＾三＾p＾) (2019年9月15日 13時) (レス) id: f14b80ed49 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます！関西弁になる所は個人的にとても気に入っています！これからもよろしくお願いします！ (2019年8月14日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - これからも頑張ってください、応援してます！！ (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 初めまして…！文スト好きで、良く小説を漁っているんですがはっきり言ってこの小説めっちゃすこです。特に夢主ちゃんの関西弁がすっっっごく可愛くて！！！個人的に関西弁好きなんですが、いつもは敬語なのに時折見せる関西弁が性癖にぶっ刺さりました…。 (2019年8月14日 19時) (レス) id: b1b20001d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星木雪野 x他1人 | 作成日時：2019年8月3日 1時
