第21話「物騒な入社試験」 ページ23
タイマーはゼロになった筈なのに、何故か何も起きない。
不審に思った蓮華が顔を上げると、続いて顔を上げた敦と目が合った。
「敦さん、大丈夫?何も無い?」
「うん…平気…みたい」
二人が混乱していると、大宰と国木田、そして何故か爆弾魔の青年が此方を見ていた。
「やれやれ…莫迦とは思っていたがこれほどとは」
「あのままだったら心中だったね、羨ましいなあ」
「へ?………え?」
「………まさか」
「ああーん兄様ぁ!大丈夫でしたかぁぁ!?」
「痛だっ!?」
いきなりイチャつき始めた爆弾魔と人質の少女。
その瞬間蓮華は口元を引きつらせた。
要するに_____騙されたのだ。
「……嵌められたな」
「………へ?」
「小僧、娘。恨むなら大宰を恨め。
若しくは仕事斡旋人の選定を間違えた己を恨め」
「そういう事だよ二人共。
つまりこれは、一種の入社試験だね」
「入社………試験?」
「その通りだ」
威厳のある声に振り向くと、鋭い眼差しをした和装の男が其処に居た。
武装探偵社社長
福沢諭吉_____能力名『人上人不造』
「社長」
「しゃ、社長!?」
「この方が……」
「そこの大宰めが『有能なる若者が居る』と云うゆえ、その魂の真贋試させて貰った」
「君達を社員に推薦したのだけど、敦君は区の災害指定猛獣、蓮華ちゃんは身元一切不明。
保護すべきか社内でも揉めてね」
成る程、だからこんな大掛かりな試験をしたのか。
「で、社長の一声でこうなったと」
「で社長………結果は?」
福沢の視線が二人に向けられる。
そして静かにこう云った。
「大宰に一任する」
どうやら少年と少女は認められたらしい。
敦と蓮華は威厳のある佇まいに呆然とする。
「合格だってさ」
「つ、つまり……?僕達を斡旋する仕事っていうのは此処の……?」
太宰はクスリと笑い、態とらしく両手を広げた。
「武装探偵社へようこそ」
瞬間、首元に嫌な汗が流れた。
そしてすぐ後ろに窓がある事を確認する。
「うふ、よろしくお願いしますわ」
「痛いそこ痛いってばナオミごめんごめんって!」
谷崎潤一郎_____能力名『細雪』
その妹____ナオミ
此処は四階。人間離れしている彼女なら余裕の高さだ。
大宰が敦を脅している(?)間に窓枠に到達する。
『……いける。余裕』
「おい何をしている娘!」
気付かれた事に内心舌打ちしながらも窓を開けた。
だが彼女に迷いはなかった。
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星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!気に入って貰えて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年7月31日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください! (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです!バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです!これからもよろしくお願いします! (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか?方言が刺さります! (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!!私も吸血鬼ネタが大好きで作りました!これからもよろしくお願いします! (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年6月2日 17時