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第12話「不思議な少女」 ページ14

「あの、少し良いですか」



蓮華は納得がいかないと云うように右手を挙げた。



「敦さんは兎も角、私は探偵社に入るつもりはありませんよ」



愛想笑い一つせずに言い放つ彼女。
胡散臭い笑みを貼り付けられるよりはこうやって敵意を持ってくれた方がずっと良い。



「………何故だい?」

「私は異能力などというものはありません。ただの一般人ですから。
…彼の事,宜しくお願いします」



蓮華はぺこりとお辞儀をして立ち去ろうとした。
だが太宰が彼女を腕を掴んでそれを阻む。



「………まだ何か」

「単刀直入に云おう。蓮華ちゃん、君は何者なんだい?」



その瞬間彼女の表情が強張った。
瞳が動揺を表すように赤く染まった。



「……如何いう意味ですか」

「何故国木田君や私の名前を聞いた時動揺していたの?それに君の瞳、さっきから赤色に変わってる」



最初は無自覚に異能力を持っているのだと思った。
だが太宰に触れても変わらないという事は、異能力ではないという事だ。
どちらにせよ、彼女はただの人間ではない。何かを隠している。



「私は………」



少女の顔に焦りが滲んだ。
ゆっくりと視線を落とし、何かに耐えるように歯をくいしばる。



『やばい,貧血が,倒れ,』

「!」



突然少女の身体がその場に崩れ落ちた。
太宰は掴んでいた腕を引っ張って彼女を受け止める。



「おい大丈夫か!」



倒れた少女に国木田達が駆け寄る。
すると探偵社の専属医師である与謝野が怪訝そうに顔を歪めた。



「この子、おそらく慢性的な貧血体質なのかもしれないねェ」

「ああ、道理で顔色が悪いと思いました」

「でも……体温が低過ぎる。まるで死人みたいだ」



それは彼女に触れた時に太宰も気付いた。
どちらかといえば低体温の彼がそう思うなら彼女は相当だろう。



「太宰、本当にこの娘を探偵社に入れるつもりか?」

「え?そうだけど?」

「阿保か!あの小僧は兎も角、娘は異能を持たない一般人だぞ!」

「保護者はいるんですか?」

「確か両親の友人に引き取られたと。今から連絡して家に………」

「多分、無理だと思うよ」



そう云ったのは探偵風の男性、江戸川乱歩だった。



「ら、乱歩さん………それはどういう………」

「だーかーらー、この子は家に帰れないって事」



その言葉に一同は耳を疑った。

第13話「彼女が追い求めたもの」→←第11話「これより開幕」



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設定タグ:文スト , 原作沿い , 吸血鬼   
作品ジャンル:アニメ
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星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!気に入って貰えて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2019年7月31日 21時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
赤砂晋助(プロフ) - この話好きやけんこれからも頑張ってください! (2019年7月22日 9時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - 三輪さん» 実はそうなんです!バリバリの関西弁ではないのですが、気に入って貰えて何よりです!これからもよろしくお願いします! (2019年6月24日 15時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)
三輪 - 吸血鬼ネタ最高です……!蓮華ちゃんが可愛い。。それとつかぬ事をお伺いしますが、作者さまは関西圏出身なのですか?方言が刺さります! (2019年6月24日 15時) (レス) id: e6d66e6ea7 (このIDを非表示/違反報告)
星木雪野(プロフ) - ありがとうございます!!私も吸血鬼ネタが大好きで作りました!これからもよろしくお願いします! (2019年6月2日 23時) (レス) id: 9c0b08827d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星木雪野 x他1人 | 作成日時:2019年6月2日 17時

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