短編集 (ページ35)

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ホワイトクリスマス･マジックページ35

カラフルな街並み

どこか浮かれた足取りの人々

ポップな音楽

そう、今日は街に待ったクリスマス前日、すなわちクリスマスイブだ。
着飾った街が、まるで街ゆく人々を祝福しているかのように明滅している。

そんな中私1人だけ仕事…なんてことはなく、やっとの思いで取れた休暇を思う存分楽しんでいた。
でもやっぱり今年も私の部屋には私しかいなくて、「今年も1人か…」なんて若干落ち込みながら少しだけ贅沢をして買ったお高めのワインを楽しんでいた。

もちろん私も花の20代である。
気になる人の1人や2人くらいいるのだが、まぁ叶わぬ恋と言うやつである。

なんてったって、気になる彼は仕事はできるし気遣いもできる。おまけに身長も高くて顔がいい。
そんなパーフェクトボーイに誰も寄っていかないはずがなく、彼は言わば高嶺の花のような存在なのである。

そんな彼はどういう風の吹き回しなのか、私の直属の部下であった。

一体私は何人の恨みを買っているのだろうか。いつか背中を刺されそうで怖い。

これからのことを考えて遠のきかける気を確かに持とうとグラスに入っていた残りのワインをグイッと飲み干した。

一気に飲んだせいか頭がふわふわしてきたとき、聞き慣れた着信音が耳に届いた。

誰かと思い確認してみるとなんと、気になる彼からだった

思わずギョッとして夢を見ているのではないかと頬をつねって確認する。

い、痛い…

しっかりと現実で、そうこうしている間にも着信音は鳴り続ける。
取り敢えずでなければと通話ボタンを押せば『あっ！』と毎日のように聞いている愛しい彼の声が聞こえた。

声がうわずらないように出来るだけ平静を装って用件を聞く

「、どうしたの？」

『えっと、あの』

言い淀む彼にもしかして何かあったのかと心配になって同じ質問を繰り返す

「ねぇ、どうしたの？」

『せ、』

「せ？」

『先輩の声が、聞きたくなったんです！』

意を決して言ったようで、画面の先から『あああ…言っちゃった…』と小さく聞こえてくる。

対する私は、硬直していた。

…いやいやいや、ないないない！この子に限って私なんて、ねぇ、

勘違いしそうになる思考を律して考える

そもそも彼はただの後輩であって、決してそんな気があるわけではないだろう。
それに、彼ほどの人間となれば彼女には困らないだろう。
そんな彼がわざわざ私なんかを選ぶ訳がない。

…自分で考えて少し悲しくなってきた