第10章 祝福の言葉を ページ39
魔法舎に戻ったテミスはフィガロを探し始めた
無論、一発お見舞いしてやるためにだ
魔法舎内はそこまで広くない
廊下を早足で進むテミスの耳に目的の人物の名が聞こえた
思わず足を止め、何処かに隠れようと一瞬思うが廊下には隠れられる場所が無い
不自然なまま、直立不動で立ったみでいる
二人の会話を盗み聞きは彼自身のプライドが許さないため、聞き耳は立てずにここに立っていることにした
「フィガロ先生!」
天真爛漫に、フィガロを呼ぶのは南の国の魔法使いの中で一番年が下のミチルであった
南の国の魔法使いで在りながら、東の国の魔法使いに物怖じせずに、真正面から喧嘩をふっかけていたあの少年だ。
その少年はフィガロに何か興奮した様子で何かを話していた
ミチルの話を聞きながら、フィガロは穏やかに笑っていた
その笑みと同じものをかつて、テミスも向けられていたことを思い出す
あの頃は、純粋に彼を慕っていた筈だ
初めて自分以外の魔法使いで世界を教えてくれた人
けれど、いつの間にか何処かへ去ってしまった
その当時、幼いながら、探し回ったものだ
"あの時"もそうだ。きっといつかあの少年の前から居なくなるに決まっているあの男はいつもそうだ
「盗み聞きは良くないな。テミス。」
「……盗み聞きなんて、してませんよ。」
いつの間にか、フィガロが目の前に立っていた
「あの少年は貴方のお気に入り何でしょうね?」
「嫉妬してる?」
「寝言は寝てから言ってください。」
「安心しなよ。俺はお前を愛してるよ。」
ふいに、フィガロの手のひらがテミスの頬に触れた
嘘だ。その一言や行動に呆れやら怒りやら複雑な感情が交じる
「貴方のそう言うところが本当に嫌いだ。」
頬に添えられた手を払いのけ、彼は歩き出した
その背中を見つめながら、フィガロは呟く
「…嘘じゃ無いんだけどな。」
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菊春 - 佐倉紗南さん» 他の作品のこともありますので、早くとは言えませんが、次も良かったと言ってもらえるように尽力します!コメントありがとうございます。 (10月26日 18時) (レス) id: b382f7d8ff (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (10月25日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - すごく良かったです!更新頑張ってぐださい!楽しみに待ってます! (10月23日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (10月22日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
菊春 - 佐倉紗南さん» 励みになります!ありがとうございます!更新頑張ります! (10月21日 9時) (レス) id: b382f7d8ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菊春 | 作成日時:2022年11月5日 16時