中央の国の法律ボーイ ２章【魔法使いの約束】

【喪ったものたち】 ページ15

「ここで皆で生活しながら、＜大いなる厄災＞の襲撃に備えるんだ。」


決意を改めて言った提案に、スノウとホワイトは賛成する


「奇妙な影響のこともあるしのう。」

「みなもの、どうじゃ。」


一人、テミスが賛成するように手を叩いた

しかしその一方東の国の魔法使いは一同嫌な顔をしている

そもそもが人見知りとして知られている国の魔法使いからか全員が全員…嫌そうにしてはいるが…

ただ一人、東の国の魔法使いで賛成する者がいた


「オレは構わない。」

「雨風がしのげればどこでも寝れる。」


暗めの紺色ともとれる髪色と赤い瞳の少年―――――シノはそう言った

カインが彼に自己紹介を求めるとシノは名乗った


「東の魔法使いシノ。」

「シャーウッドの森の番人。」

「ブランシェット家の小間使いだ。」


「ブランシェット家」…そこで思いあたるのはヒースクリフの実家だ

ヒースクリフ本人は苦い顔をしながら、「幼馴染です」と短く答える

ファウストはヒースクリフとシノの顔を見比べた後、顔を上げた


「………。」

「きみたち、自己紹介が下手か。」

「いや、だって、手本がさ……。」


本当のことであるのだが、ファウストは静かにシノと向き合った

シノは「なんだ」とファウストを見つめるとヒースクリフが「敬語を使え」と少し怒った様子で言った

しかしシノ本人は「名前以外教わってない」と返す


「授業料も貰ってない。」

「おまえ、ヒースクリフの友人か。」

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