1月の風〜頬に触れるは冷たい何か〜【Monthly Story〜月別の王子様〜】

Epilogue ページ34

*









春先。


凛はオーストラリアヘもう一度旅立ち、七瀬と橘は東京へ。

リレーを泳いだあのメンバー達は、次の学年へと駒を進めていた。




俺とAはというと、

愛も変わらず…じゃなかった。

相も変わらず仲良くやっている。


鮫柄の追い出し試合の時、凛に言われた言葉。









・









凛『待ってる』


凛『お前が戻ってくんの、待ってるから』









・









あの言葉を聞いたとき、俺にまた、新しい夢が出来た。


いや、"もう一度叶えたいと思った"の方が正しい。









"凛と同じ舞台に立ちたい"









凛のあの言葉を胸に、またリハビリをしながら泳ぐ練習をしている。




確かに昔のように、肩を壊す前のようには泳げないかもしれない。



でも、また一からでも頑張れば。

あの頃のようにがむしゃらに、まっすぐに、進んでいけば。



叶えたいという想いは誰にも負けない。

がんばりは誰にも劣らない。



凛とまた泳げるよう、同じ舞台に立てるよう。









そんな俺を、笑顔で支えてくれるA。


俺の右側で、笑ってくれるA。




彼女の左手の薬指には、銀色に光る指輪。

水につかっているとき以外は、俺も同じ位置にはめている。


ふたりお揃いの、愛の証。









・









Aの事は、誰にも渡さない。


Aの事は、絶対に失わない。


Aはずっと、俺の隣にいてくれる。





Aさえいれば、俺は生きていける。









・









"愛してる"


を毎日言葉にしながら、


俺達はこれからもふたりで、歩き続けていく＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

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