1月の風〜頬に触れるは冷たい何か〜【Monthly Story〜月別の王子様〜】

January wind　　06 ページ8

*









高校二年の時、いよいよ肩が使い物にならなくなってきた。


医者からは、



『無理をすれば二度と泳げなくなる。』



そう言われた。




そうは言われても、どうしても、水泳はやめられない。



凛と一緒に泳ぐんだ。



その思いが強くて、どうしてもやめられない。




俺の性格上、手なんか抜けなかった。









そんな俺を見かねて、Aはいつも気をつかってくれた。


いままでも一緒に考えていた練習メニューに、

少しだけ、何もしない時間を加えた。


その時間は、トレーニングはしてはいけない。泳いではいけない。

そんなルールを作られた。


食事も考えて作ってくれたし、

俺の方に負担のかかるようなことは、ほぼすべて取り除いてくれた。



より一層、Aを大事にするようになった。









・









そうやって過ごしていくことで、気づくことがあった。









俺の夢はもう、叶わないという事。









それをAに伝えた時、自分の事のように涙を流しながら、

優しく俺を、抱きしめてくれた。

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