しろくろ【呪術廻戦】 (ページ19)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:7,760 hit

その８ページ19

『グスッ……ふぐっ…

…バカヤロウ……』

涙と共に零れ落ちる不満や、憎しみ。

どうして、と聞いても返事が帰ってこないのがあまりにも切なくて、悲しくて。

『……ちゃん、なんて、

――母ちゃんなんてッ、大っ嫌いだァァァ！！』

あの日、私は初めて呪いをモノに打ち込んだんだ。

ーーー

「とんでもないガキだな」

――そんな声が聞こえると共に振り向けば、そこにはいつの間にか木の幹にぶら下がって逆さまになっていた山本がいた。

山本「自分の母親を呪うとは、さぞかしロクでもない大人に育っておろう」

何故か話した覚えもないのにそう言う山本に、私はふと未だに自分に巻き付いた奴の包帯に触れる。

「……アンタ、人の心でも読める訳？」

山本「呪脈マフラー(コイツ)で繋がってる時ならちょっとだけな」

「早く言えっつーの！！！」

包帯を引っ張って引きずり落とすと、山本は思いっきり頭から落ちて鈍い音を響かせる。なんかシャチホコみたいなポーズになってるな……ってそんな事はどうでもいい。

「世の中にはねぇ、母ちゃんが嫌いなガキンチョもいるのよ」

山本「…坂田せつ子といえば、闇の世界にも知れ渡る特級呪術師。

天才とも呼ばれた彼女は数々の呪いや魔を祓い、多くの人々を救ってきた。」

五条さん達がここに入り浸る様に、尊敬に足る人物だと思うが。

そう山本が言うと、私は溜息をついて奴に背中を向けた。

「……いくら人を救ったって、

娘一人救えなかったら母親失格でしょ。」

ーーー

2021/03/05の本日、表紙が完成したので追加しました！みんな見てくれてありがとね。