魔女見習いですがっ！

2話 ページ3

｢皆無事だ！怪我人は大勢だが命に別状は無い、君はもう無理せず…｣


ここまで話した時いきなり大きな音がした
瞬間的に得体の知れない恐怖が身を包む
彼らも同じだったようで緊張が走る
気づくと横たわっている少年にピンク色の髪と刺繍が特徴的な男の人が拳を振り上げ殴りかかろうとしていた


『ラリラルラリン・ピペポット、壁よ！彼を包んで！！』


壁が出来ると同時に横に居た煉獄さんが刀で手を縦に裂いた



銃刀法違反とかモラルとかよりも腕が裂けている事に恐怖を覚え隣で刀を構える彼を凝視してしまった


｢よもや、本当に壁が！君の事について後で話がしたい！！｣


ハツラツとまるで人など切っていませんと言うかのようにニコニコ笑っている煉獄がさっきとは逆で怖かった

それに話す事は出来ない
いくら先々代の呪いが解けて魔女ガエルにならないとは言え自分が魔女見習いなんて信じてくれないだろうし、下手をすればSNSに投稿されて終わりだ


何も言えないでいると煉獄が前を向き直したので菫も前を見た


『……あれ？』


先程切れていた腕は血が着いているが何事も無かったかのようにくっついている


｢いい刀だ｣


そう言って血を舐める男


｢なぜ手負いの者から狙うのか理解できない｣

｢話の邪魔になるかと思った。俺とお前の｣

｢君と俺が何の話をする？初対面だが俺はすでに君のことが嫌いだ｣


おおお、直接嫌いって言えるって凄いよな…
しかも初対面に…


｢そうか俺も弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫唾が走る｣



『…弱いものいじめじゃん。かっこわる』


気付けばボソッと呟いていた
しかしそれは相手に聞き取られることは無かった


｢俺と君とでは物ごとの価値基準が違うようだ｣


｢そうか、では素晴らしい提案をしようお前も鬼にならないか？｣


鬼…？
何を言ってるんだろうか
一瞬理解出来なかった


｢ならない｣


｢〜〜〜！｣

突然ドーム型の壁の中から少年の声が聞こえ慌てて魔法を解いた


いや別に忘れてた訳では無いんだよ？？
ホントだよ？？


｢一瞬で真っ暗になった…血鬼術か…？｣


『血鬼術？？』

さっきから鬼だの血鬼術だの分からないことだらけだ
少年は私がやった事に気付いていないようだ


｢君は早く逃げるんだ…！あいつは人喰い鬼だ！｣



『人喰い…鬼』


"せっかく魔法が使えるなら人の役に立ちたいな"
魔女見習いになった時に私が言った言葉だ



『私は緑山菫。その人喰い鬼の弱点は？？』

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