【RKRN】白い夜 (ページ40)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:12,343 hit

＊ページ40

ぼく、二年は組体育委員の時友四郎兵衛には、今気になっている先輩がいる。

「四郎兵衛、何か悩み事があるのか」

ぼくと大して関わりがあるわけじゃないのに、ぼくが何か悩む度に、そう目敏く声をかけてくる六年生の白谷先輩だ。
これは、今に始まったことではなくて、ぼくが一年生の頃から決まって、思い悩んでいる時に先輩はそう尋ねてくる。
だから、度々疑問に思い続けて、今になってそれが爆発したみたいだった。

だから取りあえず、仲のいい二年い組の三人に訊いてみた。

「－－え？白谷先輩？」
「うん。それでなんというか、すごく気になっちゃって」

ぼくが、白谷先輩がすぐに自分が悩んでいることに気づくこと、そうしてそれがどうしてか分からないことを三人に話すと、まず火薬委員の池田三郎次がかかっと笑った。

「四郎兵衛はいっつも誰かのことを気にしてるなあ」
「確かにそうだ」

三郎次に同調した図書委員の能勢久作も、一緒になって笑う。
一方で、保健委員の川西左近だけは、少し真面目な顔もしてから「わかる気がする」とぼくに返した。
ぼくはその声に少し目を見張って、左近へと視線を移す。

「ぼく、一年生の時は白谷先輩と同じ委員会だったから、四郎兵衛の気持ちわかるよ」
「左近……！」

確かにそうだった。一年生の頃から色んな委員会を転々としていたらしい白谷先輩は、去年左近と同じ生物委員会に属していて、左近は今でもたまに白谷先輩と話していることがある。
ぼくは気持ちがぱっと晴れて、左近と手を取り合った。

「おれ達は白谷先輩と同じ委員会になったことないし」
「よく分かんないや」

久作と三郎次が頬をかきながらそう言うと、左近は少しいたずらっぽく笑った。

「二人とも、白谷先輩と話すのが恥ずかしいだけだろ～？だって去年先輩が女装の試験で－－」
「わーーーっ！言うな言うな！」
「そのことは忘れろって言ったろ！左近！」

左近の言葉に二人があんまりにも慌てるものだから、今度はぼくと左近がクスクスと笑った。
二人はあからさまにからかわれて、少しムッとしていたけど、左近が「ごめんごめん」と笑いながら謝まると、ちゃんと機嫌をなおしていた。