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「おまえ達、そろそろ限界だろう。 店に迷惑がかかるので早く帰ってくれ」

(うわ、この人もほんと容赦ないな)

かなり長居しているのだろう。 甲斐丸は吐き捨てるように言った。
甲斐丸のはっきりとした物言いに、五年生は五人ともそんなことを考えながら、六年生たちを見ていた。

「細かいことは気にするな!」
「もう食えねえのか? 留三郎」
「はぁ? それはこっちの台詞だ文次郎。 箸が止まってるぜ」
「二人とも、こんなことでまで争うなよ!」
「甲斐丸、文次郎と留三郎は大盛りをもう一杯だそうだ」
「もそ……」

−−いや、これはそんな吐き捨てるように言いたくもなるな。
今回ばかりは、満場一致で甲斐丸に同情した。 時間相応の金を落とすため、暗に追い返すこともできないのだろう。 だがバイト先にこんな身内が長時間居座っていては、迷惑どころの話ではないかもしれない。

「先輩、よく耐えられますね」
「大概諦めているからな」

尾浜の発言に、甲斐丸は平坦な口調で一言返すと「注文が決まったら呼んでくれ」とだけ残してその場を去った。 注文を厨に伝えてから、きり丸と交代してお盆を運ぶ。

「……真理だな」
「真理だね」

八左ヱ門と雷蔵は、二人してどこか納得していた。

それからというもの。 そのうどん屋には、次々と忍術学園の生徒達がやって来た。 一時的に家に帰っている者や、忙しい者を除いて、ほぼ全員。 くノ一教室の女の子達までやってきたものだから驚きだ。

「土井先生、山田先生まで…… 何をしてらっしゃるのですか」
「いやあ、あいつらがお前ときり丸のバイト先に行くと言うもんだから」
「ついて来ちゃった」

(いい大人が来ちゃったって……) と周りの生徒は思っていたが、甲斐丸は特段文句を言うわけでもなく、そうですか、とだけ返して注文をとっていた。

「白谷せんぱぁい! ぼく大盛り!」
「ぼくも!」
「こら、そんな大声で先輩と呼ぶな」
「あっ、すみませ〜ん」
「というか外では呼んでやるな!」

わらわらと甲斐丸に話しかけ、彼女に注意をされたは組のよい子達に、つい半助が釘をさした。
その間にも甲斐丸を呼ぶ客の声が店に響く。 それに、少々お待ちください、等と返事をして、甲斐丸はは組の注文をとっていた。

「甲斐丸、接客は苦手だと言う割に中々板についてるじゃないか」
「そうだね」

仙蔵と伊作が、店を駆ける甲斐丸を眺めながら言った。 傍らには文次郎と留三郎がダウンしている。
そうして、きり丸は味をしめたのだった。

第六話 -時友四郎兵衛は気になる-→←*



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作者名:星月夜 | 作成日時:2019年2月3日 19時

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