【RKRN】白い夜 (ページ32)

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「－－少しでも助けになったのならばよかった」

甲斐丸は四人と目線を合わせながらそう言う。
少しどころの騒ぎではなかったが、四人は一様にこくこくと首を縦に振った。
天狼もどこか満足そうな顔つきをしている。

「白谷先輩、色々教えていただいてほんとうにありがとうございます！」
「ありがとうございます！」
「これなら今日の宿題はきっと満点です！」
「どういたしまして。何かあればいつでも来るといい」
「天狼もありがとう！かっこよかったよ～」

嬉しそうに笑う四人に、甲斐丸はよかった、と短く返した。天狼は一平に撫でられて少し心地よさそうに目を細めている。

( ……一平たち生物委員会の一年生にも一度天狼のことを見てもらうよう、今度竹谷に言っておくか)

皆仲良くなれるといいが、と甲斐丸は天狼と一平を見ながら考えた。

甲斐丸と一年い組の四人は、そうして手を振って別れた。四人は今までにない充実感を胸に。甲斐丸は、こういうのも意外と悪くない、とあたたかな気持ちを抱えながら再び天狼に跨った。

「……よかったな、天狼」

後ろから、甲斐丸はそっと天狼に頬を擦り寄せた。豊かな白い鬣が、甲斐丸の肌をそっと包み込むように触れる。それを享受する天狼の眼差しは、馬のものとは思えぬほど知的で、優しいものだった。
ふうっと黄雀風が吹き抜ける。そのじめっとした温度に、梅雨もそう遠くなさそうだ、と甲斐丸は思う。

そうして、翌日。

「白谷先輩！ぼく達にも弓矢について教えてくださ～い！」

そう放課後に一年は組の生徒達が甲斐丸の元に押し寄せてきたので、甲斐丸は忍たま乱太郎のお約束通りズッコケそうになるのをぐっと堪える羽目になった。

(まさか、わたしのところに全員来るとは……)

当然その後、半助の怒号が下され、ジャンケンによって人数が二人に絞られたのだった。