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( ……そんなに大豆の味得意じゃないはずなのに )

小さく呟いた甲斐丸に、三郎はそんなことを思った。

「じゃあ僕も、今日は先輩と同じものを選んでみます。 三郎と八左ヱ門は?」
「えぇっ、お、俺は……」
「八左ヱ門、お前がA定食を選んだからって誰もあからさまだなんて思ったりしないぞ」
「お前が思ってんだろ三郎!」

八左ヱ門は耳を真っ赤にして三郎に抗議した。 そんな二人に甲斐丸は、まだやるのか、と若干面倒くさくなり、不破、と雷蔵を呼んで食堂の中へと歩みを進めることにした。

「先に行っていよう」
「そうですね」

雷蔵は苦笑する。 そしてから、あ、と何かを思い出したように、先輩、と甲斐丸を呼んだ。 食堂へ足を踏み入れた甲斐丸は、二人に声をかけたおばちゃんに「こんばんは」と挨拶を返してから、雷蔵を振り返る。

「そういえばなんですけど、その髪、よく立花先輩が許しましたねえ」
「……許す? 仙蔵が? 何の話だ」
「えっ」

甲斐丸が不思議そうに首をかしげてみせると、雷蔵は顔を引き攣らせて固まった。 からかいからかわれをしていた食堂外の二人も、その会話にひょっこりと顔を覗かせる。

「あ、いや、先輩、何も仰ってなかったんですか……?」
「何も? どういう意味だ」

心底わからない、といった口調だ。 その声色に、三人は僅かながら危機感を感じた。

( だって、立花先輩は…… )

すると、その時。 三郎と八左ヱ門は、後ろから二人分の足音が聞こえて、まさかそんな、と勢いよく振り返った。
そのまさかだった。 なんと、仙蔵と文次郎が吹き抜けを歩いてきているではないか。 二人は口をあんぐりとあけた。

「しっ、白谷先輩! 早くその髪解いてください!」
「何故だ、竹谷」
「もういい雷蔵ほどけ!」
「え、あ、うん! ……でも待てよ、元髪結師の斉藤タカ丸さんが折角仕上げたであろう髪の毛を、僕がそんなにあっさりほどいてしまっていいんだろうか……」
「馬鹿! 迷い癖を発揮してるバヤイか!」

甲斐丸は唐突に投げられた真意の掴めない指示に困惑している様子で、雷蔵はこんな時に限って自分のキャラ付けを忘れなかった。
もうやってられるか、そう走り出したのは三郎だった。 「あっ、三郎!」八左ヱ門はどうすればいいか分からず、そう発してからすぐ目前まで来ている仙蔵と文次郎の前へ立ち塞がったのだった。

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作者名:星月夜 | 作成日時:2019年2月3日 19時

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