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「−−それで、その事を知った他のクラス、更には他学年にも勉強を教えて欲しいと引っ張りだこになってしまったんですか」

部屋の真ん中で、普段よりも僅かに疲労気味に筆を滑らせる甲斐丸に、五年い組の学級委員長、尾浜勘右衛門は団子を飲み込んでからそう言った。
まあ、そんなところだ。 と甲斐丸は目線を少しもくれずに返答した。

あの補習後からというもの、一年は組のよいこ達は頻繁に甲斐丸に話しかけたり、分からない箇所をよく教えて貰いに訪ねていた。 甲斐丸自身も、分からないところは聞いて欲しいと予め伝えておいたため大した問題はなかったものの、ほんとうの問題はその後だった。

−−「兵法のテスト、は組全員合わせて五百点だったんです!」

その五分の一は庄左ヱ門だったものの、誰も赤点をとったものがいなかった。 そのため、甲斐丸は土井先生からも多大な感謝をされてしまったのだった。
その日の放課後からだった。 甲斐丸の元にあらゆる学年、組の生徒が押し寄せるようになったのは。
一時期この学級委員長委員会室が騒然となったのを五人は覚えている。

「すみません、ぼくが彦四郎に話してしまったばっかりに……」
「いい、気にするな」

申し訳なさそうに眉を下げた庄左ヱ門に、甲斐丸は視線を合わせながら柔らかな口調で告げた。
一年は組の面々が各委員会でテストの結果と、白谷先輩はこんなにすごいお方なんだぞ! と話してしまえば、ずるい! と他の者らに思われても仕方がなかった。
ただでさえ甲斐丸は浮世離れしていて、どこか近寄り難い雰囲気を纏っているというのに。

「何もかも優秀なこの滝夜叉丸を差し置いて、入ってきたばかりの一年生が何故!」
「この忍術学園のアイドルである私を差し置いて、どうして一年は組が!」
三郎はぼんやりと、そう憤慨していた四年生の後輩二人を思い出していた。

「でも白谷先輩、教え方がほんとうに上手なんです。 い組のみんなも、先輩に教えてもらったところはいつも以上に点数がよくて……」
「それはよかった。 安藤先生も喜んでいらしたよ」

甲斐丸がそう言うと、一年い組の学級委員長今福彦四郎は、ふわりとはにかむような笑顔を浮かべた。

「それはそうと、今日はこのあと何かご予定が?」

五年ろ組の学級委員長、鉢屋三郎がそう尋ねると、甲斐丸は短く一言、ああ、と返事をした。
だれと、どこで、何をするのだろう。 そう言いたげな八つの目玉に、甲斐丸は筆を止めずに言った。

「斉藤タカ丸の所にな」

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作者名:星月夜 | 作成日時:2019年2月3日 19時

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