episode13 ページ14
。
「お前らがそうしてると俺も安心するよ」
可笑しそうに笑うリーの言葉にAはムッとした表情になる。
『もー！リーも何か言ってやってよ！』
「ああ、悪いな。こいつらは永遠にこうだ」
「流石、分かってる」
ジョージはニヤニヤしてリーとハイタッチする。そんな姿にAは呆れた顔をするしかなかった。
『……もう』
少しだけ、小さく笑ったのは誰も知らなかった。──1人だけ、除いては。
────
深夜の談話室。
今日こそは、今日こそは行かない。そう決めた筈なのに談話室まで出てきてしまっていることに、自分で呆れた。
──ああ、なんで。
Aはあの鏡を見に行ってはいけないと頭では理解していた。きっと、あまり良くないものなのだろう、と。それでも体は、心は、求めている。
鏡に映る人物は知らない。でも、夢だけでは知っている。鏡に映るように笑ってはいないが。
いつも、泣き叫んでいる。でも、まるで自分のことが愛おしい、とでも言うような瞳にも見える。
それなのに、顔は少し、ぼやけている。
まるで──
「あれ、こんな時間にどうした？」
いきなり背後から声を掛けられ、肩を大げさに跳ねさせてしまった。
振り返れば、ジョージが居た。
『……ジョージこそどうしたの？』
「なんとなく。……にしても、Aって俺達を見分けるプロだよな」
『最初は間違えちゃったけど』
「でも、すぐに分かるようになった。母さんでも間違えるのに」
ジョージの冗談に小さく笑えば、隣に座るジョージと腕が触れ合った。
『……顔の特徴もそうだけど、喋り方っていうか性格は少し違う。──って、そろそろ寝ないと』
Aがそう口にした時、いつもと違って真剣な瞳が覗き込んできたと同時に指先で目元をなぞられた。少しくすぐったくなる。
「──やっぱり、最近あんまり寝てないよな？」
『ほ、本読んでたから……』
「おまけに泣いてる」
『感動しちゃって……』
「そんなに言えない？俺やフレッドには言えないこと？」
ジョージの瞳は真剣で、優しく、不安気に揺れている。
Aは胸が痛くなる。何故、こんなにも優しいのか。
出会った時からそうだった。噂話なんて気にせず、笑い飛ばし笑顔にしてくれた。
──出会ったあの日は、絶対忘れない。
『──不安、なの』
「何が？」
優しく返事してくれるジョージに泣きそうになってきてしまう。
。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 315人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
高菜(プロフ) - あおさん» わわ、こちら誤字でした(´;ω;｀)「魔法」ですね。修正しました！ご報告ありがとうございます。助かりました。 (2021年12月18日 20時) (
レス) id: 5d2279693e (このIDを非表示/違反報告)
あお - な方？ (2021年12月18日 19時) (レス) @page37 id: 46efee1d0c (このIDを非表示/違反報告)
高菜(プロフ) - 星空夢月さん» 読んでいただき、ありがとうございます！わー！すみません、ありがとうございます！修正しておきます。誤字報告助かります！ (2021年12月11日 13時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！エピソード41の始めの文のところが、名前になってます！！ (2021年12月11日 11時) (レス) @page42 id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
高菜(プロフ) - 不死川さん» 読んでいただきありがとうございます！大好きと言っていただけて、本当に嬉しいです。長いお話にはなりますが、最後までお付き合いしていただけるよう、頑張ります！ (2021年12月9日 15時) (レス) id: e272390ee5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：高菜 | 作成日時：2021年12月4日 21時
