戻れないの? ページ31
『ふう…やっと一人だ。』
突然言い渡された関東への出張。
急すぎ、と思いながらもやっぱり一人になるのが嬉しくて。
不審がられるほど『行きます!』って即答しちゃって。反省。
出張先での仕事を終え、ホテルで着替えて夜の街へと飛び出す。
どっか美味しい店とかないかな〜なんて考えながら歩く。
歩く人の中にはライオンズの紺と白のユニフォームを着ている人も。
『今日試合あったんか…?』
なんて疑問を口にしつつ、どこというあてもなくさまよっていると、誰かにぶつかった。
『あっすみません…お怪我はありませんか?』
「大丈夫ですけど……」
何か訳アリなようで。
『どうされました…って……!!』
「A?なんでここに…?」
『……侑司さん。』
L8「……呼び方も戻ってるし。もう元には戻れないの?」
『侑司さんはなんでここにいるんですか?』
L8「秋山さんとかが一緒に飲もうって。で、今向かってるけど……予定変更。一緒に来て。」
はい、強制連行中。
L8「とりあえず、行方不明の報道が出てからどうしてたか教えて。」
『親の会社で無理矢理働かされてました。』
L8「じゃあこの傷は?」
頬にある切り傷を触れられ、痛みに少し顔をしかめた。
L8「あ、ごめん…」
『いえ、大丈夫です。彼氏からDVを受けてて…その時にできた傷なんです。』
L8「…よく耐えてたね。」
侑司さんの声に、涙が出そうになった。
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作者名:神瀬結衣@虎党 | 作成日時:2019年3月3日 0時