run away again. ページ18
逃げるように京セラドームを後にし、なんというあてもなく、大阪の町をさ迷う。
『増井さん…なんで、怒ってたんだろ。』
私があまりにも自分勝手すぎるからだろうか。
私があまりにも弱いからだろうか。
『私、何から逃げてんだろ…』
逃げるの、という増井さんの声。ずっと脳内にこだまして、離れなくなる。
教えてほしい、知りたい。
『なんで私、ここにいるんだろ…』
私が今、ここにいる意味。
私がいるべき場所。
私が本当に必要とされているか。
.
?「あら、久しぶりじゃない。」
『……真緒、彰。』
?「それが実の親への態度か。」
『あんた達を親と思ったことは一度もない。』
儚い記憶の中に確かに残ってる存在。
私をめちゃくちゃにした挙げ句、捨てた、憎い存在。
『今さら何の用?』
彰「お前の結婚の話だが…」
『ふざけないで。そんな話、聞いたこともないから。』
真緒「当たり前でしょ。あなたが出ていってから決まったんだから。」
『私は結婚するつもりはないから。野球をやめるときが結婚するとき。』
そして、野球をやめるつもりはない。
『もう、私に関わんな。』
彰「そんなこと言っていいのか?
逆らうのならお前の大切な人…球界の皆を危険にさらす事になるぞ。」
『……』
私はどうなったっていい。
ただ、皆が傷つけられるのはおかしい。
皆が傷つけられるのが一番怖い。
『なら、球界を離れる。婚約を受け入れる。』
彰「そうか。」
その満足そうな顔を今すぐ殴りたかった。
「A、お前なに考えとんの?」
聞き覚えのある声が脳内に響いた。
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作者名:神瀬結衣@虎党 | 作成日時:2019年3月3日 0時