あの人の妹は燕戦士！ (ページ16)

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I want friend. ページ16

G19「A、ごめん。今になって気づいた。Aのこと、何も考えてなかった。本当に…ごめんなさい。」

『智之、もういいよ。』

ほんのりプライドの高い彼が頭を下げるなんてビックリした。

彼が私を嫌ってるのは知ってた。だって、私は女だからって優遇される存在。

努力を重ね、エースになった彼からすれば憎い存在なんだろう。

G19「Aがどれだけ努力したかとか、考えたこともなかった。なのに、羨ましかった…それだけで、勝手にAを憎んだりして…」

羨ましかった、か。

『私は智之のことが羨ましかった。コントロールもめちゃくちゃ良くて、沢村賞も取って…だから、智之に追いつきたくて…そんなの、できないのに。』

あーあ、本心出ちゃった。

初めて口にした、本当の気持ち。

自信を持ってプレーしても、どこかで劣等感を感じていて、寂しかった。

劣等感をごまかすように、全力プレーをした。

いつの間にかみんなより活躍してて、メディアが手のひらを返したように誉めるのを聞いても寂しかった。

友達がいなかったから。

自分を隠して、ごまかすために作らなかった。

寂しかった。でも、感情を忘れてた。

G19「…強いんだね。」

『強くなんてないよ。ただ野球が好きだっただけ。自分をごまかして、閉ざしただけ。』

G19「…そっか。」

『智之、お願いがあるんだ。

私の友達になってくれない？表面だけじゃない、心からの友達がほしいから。』

G19「こちらこそ。」

どちらともなく手を差し出して、握手をする。

智之の手は私より遥かに大きく、温かかった。

マメもたくさんできてて、野球をしてる人の手だな、と思った。

初めて彼の笑顔を見た気がした。